夏の日差し=東京都内で、米田堅持撮影

 2023年の北半球は過去2000年で最も暑い夏だった――。独ヨハネス・グーテンベルク大マインツなどの研究チームが熱帯域を除く北半球の6~8月の過去の気温を分析し、英科学誌ネイチャーに14日発表した。

 チームが北半球での実際の観測記録に基づいて分析したところ、23年の夏の気温は産業革命前とほぼ同じとされる1850~1900年の平均を2・07度上回った。さらに、木の年輪などから西暦1~1890年の気温を推定して比較した結果、23年はこの期間の平均を2・2度上回ったと見込まれた。

 チームによると、夏以降も暑さが続いたり、熱波が生じたりした23年の気候は、太平洋赤道域東部の海面水温が平年より高い状態が続く「エルニーニョ現象」と大気中の温室効果ガス濃度の上昇が重なったことで起きたと考えられる。観測が始まる以前にも極端に暑い年や寒い年があったと推定されたが、この振れ幅を「自然の変動」とすると、23年の暑さは自然の変動幅を大きく超えるものだったという。

 気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げる。チームは「驚くべき発見は、23年が北半球で観測史上最も暑い夏を記録しただけでなく、1・5度に抑えるというパリ協定が既に破られていたことだ。この事態は(温室効果ガス)排出を削減するという国際合意を実行に移すことが急務であると強調している」と警鐘を鳴らす。【大野友嘉子】

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