日銀本店

日銀が2日公表した3月の金融政策決定会合の議事要旨で、今後の国債の買い入れ額について複数の政策委員が「上下に多少の変動幅をもつ形で柔軟に決めていくべきだ」と指摘していたことが明らかになった。このうち一人は「例えば上下に1兆〜2兆円程度の幅が適当」との見解を示した。

日銀は3月会合で長期金利を低く抑える長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、国債買い入れは「これまでとおおむね同程度の金額」で続けると決めた。声明文の脚注で「足もとの月間買い入れ額は、6兆円程度」とも示したが、既にこの3月会合で委員の間で将来の減額を見据えた議論が起きていた。

複数の委員が「将来的にはどこかのタイミングで国債の買い入れを減額し、保有残高も償還に伴い縮小させていくことが望ましい」と指摘した。異次元緩和下での買い入れで国債保有割合(国庫短期証券を除く時価ベース)は発行残高の過半に達する。市場流動性の低下といった副作用の懸念から減額を求める声が出ているようだ。

その一方、複数の委員が「流動性の回復過程で、経済・物価情勢の変化を受けて長期金利のボラティリティー(変動率)が高まりやすくなる」とし、国債買い入れを当面続けて金利急騰に備える重要性を強調した。

「急激な市場変動を避ける観点から時間をかけて対応することが適当だ。その間に債券市場の参加者が拡大することを期待する」との意見もあった。

日銀によると、3月の買い入れ実績は5.9兆円、4月は5.8兆円だった。3月会合後に公表した買い入れ計画では4〜6月は月あたり計4.8兆〜7兆円の範囲内で購入するとしている。市場からは下限の規模の購入額が続けば、宣言なく緩和を縮小する「ステルステーパリング」になるとの見方がでている。

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