ピーチ・アビエーションの機体

障害者の希望に合わせて困りごとの解決を図る「合理的配慮」を民間企業などに義務付けた改正障害者差別解消法が4月に施行されたが、15日には、格安航空会社ピーチ・アビエーションから、電動車いすの電池が目視できないことを理由に台湾在住の女性が搭乗を拒否された問題が発覚。斉藤鉄夫国土交通相が同社の対応を検証する意向を示すといった問題も生じている。

搭乗を拒否された女性は、沖縄県で障害者との共生に関する式典に参加後、5日に那覇空港からピーチ機で帰国予定だった。事前に車いすやその電池に関する書類を同社に送付。当日も持参して説明したが、搭乗口でスタッフから「電池を覆うカバーが外せず目視確認できないため、搭乗できない」と告げられた。

電動車いすを航空輸送する場合、バッテリーから液漏れや発火などが起きる恐れがあるため、法令により航空会社はバッテリーを確認し、種類に応じた対応を取る必要がある。種類や容量、取り外しの可否などを事前に申告し、搭乗日当日に目視でそれを確認することが基本となる。

ピーチは社内規定で現物の目視確認を義務付けており、バッテリーがカバーに覆われて確認できなかったため、搭乗を断った。ただ、カバーでバッテリーが見えない電動車いすは多く、目視確認を必須とするのは実態に合っていないとの指摘もある。国交省は15日、「車いすのバッテリーの確認は現物を必須とせず、書類や口頭などで足りる」と航空会社に改めて周知した。

実際、同様のケースで全日本空輸(ANA)は「メーカーに特別な措置が必要かの確認を行うなど最善を尽くす」とし、日本航空も「事前の証明などに基づき、極力搭乗いただけるよう配慮する」という。

一方、ピーチは社内ルールの見直しについて「安全にかかわる部分であり、慎重に対応を協議する」と話している。(重川航太朗)

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