北海道内に本店を置く20信用金庫の2024年4〜9月期決算が出そろった。北海道信用金庫協会(札幌市)のまとめによると、13信金が最終増益を確保した。金利引き上げなどを受けて貸出金利息などが増加した。20信金の純利益合計は105億円となり、前年同期に比べて0.5%減となった。
北海道信用金庫協会がまとめた仮決算概況によると、純利益のトップは苫小牧信用金庫(苫小牧市)だった。2位は預金・貸出金が道内最大の北海道信用金庫(札幌市)で、旭川信用金庫(旭川市)、遠軽信用金庫(遠軽町)と続いた。
旭川信金は金融機関向けに貸出金が増えた。企業向けに比べて金額が大きく収入増につながった。運用面では金利上昇時に価格の下落幅が小さい短期の債券を購入しており、利息配当金が増加した。
遠軽信金は金利上昇で貸出金の利息収入が増加。保有する地方債などの利回り改善も寄与した。このほか稚内信用金庫(稚内市)は、前年同期に計上した店舗解体に伴う特別損失がなくなり純利益は2.6倍に増えた。
一方で北海道信金は、取引先の経営悪化に備える一般貸倒引当金の見積方法の見直しなどにより純利益が減った。
苫小牧信金も預金利息の支払い増加や、給与引き上げによる人件費などの経費増が利益を圧迫した。
貸出金残高(期中平均)は10信金で増えた。伸び率が最も高かったのは北見信用金庫で、6%増の1892億円となった。23年10月に札幌支店がオープンし、貸出金の増加につながった。
北海道金融月報(24年9月分)によると道内信金の貸出約定平均金利は9月末時点で1.54%と、1年で0.052ポイント上昇した。
20信金の預金残高(期中平均)は12信金で増加した。7月に日銀が利上げを決めたことを受けて、預金金利の引き上げに動く信金が相次いだ。遠軽信金は11月から金利を上乗せした定期預金を展開し、預金獲得に力を入れている。
獲得競争が激化すると、金利の高いネット銀行などへ預金が流出する懸念もある。相続などをきっかけに地方部から都心部へと預金が移る傾向もあり、各信金にとっては預金のつなぎ留めが課題となる。
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