商工中金は政府の保有株を買い取り、25年6月の完全民営化を目指す

商工組合中央金庫は6日、商工中金の株式を証券会社で売買する際の参考となる「参照価格」の提供を2025年1月以降に一時中断すると発表した。商工中金は財務省が実施する商工中金株売却の2次入札に参加する予定で、参照価格の提供が入札の公平性や透明性に悪影響を及ぼすと判断した。政府が持つ株式を適正価格で取得し、25年6月の完全民営化を目指す。

組合員である中小企業などが保有する商工中金株を売買するには相対で売買するか、野村証券の本支店で注文する必要がある。このうち野村証券で売買する場合、商工中金が簿価純資産をもとに算出した参照価格をベースに、野村証券が基準価格を設定している。実際の約定価格は基準価格から上下する場合が多く、今は173円が約定価格となっている。

参照価格の提供を再開する時期は未定としている。利用者の不便とならないよう、野村証券は参照価格の提供がなくても店頭売買の仕組みを継続できる方法を検討しているという。

25年中に始まる2次入札で商工中金はファイナンシャル・アドバイザーの意見を踏まえ、適正な価格で応札するとしている。入札価格は商工中金が提供する参照価格とかけ離れる可能性があり、実質的に2つの基準で自社株を評価することになる。ほかの入札参加者から誤解を招くなど、価格形成にも悪影響を及ぼすと判断した。

財務省は今年7月に実施した入札で、中小企業や商工会議所などを対象に政府が持つ約46%の株式を売却する予定だったが落札率は13%にとどまった。財務省は商工中金に参加資格を与えたうえで、25年中に2次入札を実施する予定だ。

商工中金は11月、完全民営化に向けて政府が保有する全株式を上限に自己株式を取得する方針を発表した。10億1600万株を上限に最大1580億円で取得する予定で、今年6月中旬の完全民営化をめざす。

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