繊維製品製造販売のWILLTEX(ウィルテックス、横浜市中区)が、モバイルバッテリーにつないで食品を加熱するかばんを開発し、国内外から注目を集めている。電気で発熱する特殊な布を使い、持ち運びやすく洗濯も可能。木村浩社長(58)は「防災やアウトドア商品として世界に売り出したい」と力を込める。

電気で発熱する布を使ったかばんを紹介する木村浩社長(左)と上田彩花さん=横浜市で

◆外でも温かいご飯食べたい

 開発者は、同社の上田彩花さん(42)。寒空の下で野球の練習に励む息子を見て「外出先でも気軽に温かい食事をとれるかばんができないか」と考えた。繊維業界や電子基板設計会社で働いた経験を生かし、電気で温まる使い勝手がいい布素材を求めて試行錯誤を繰り返す中、知人の紹介で江戸川区の空調工事会社が発明した布に出合った。  この布は、電流を通す金属製の糸と加熱しても燃えにくい合成繊維で織られ、伸縮性に優れていた。上田さんは素材にほれ込み、繊維会社の元同僚だった木村社長と起業。合成繊維の断熱材で布が出す熱を閉じ込める効果を高め、電池だけでかばん内のペットボトル飲料の温度を60度まで上げることに成功。新商品「WILLCOOK(ウィルクック)」として2022年に発売した。

◆スマホで温度制御

 「持ち運べる電子レンジ」と銘打ち、これまでに手提げやリュック形など複数のタイプを販売。スマートフォンで温度制御ができ、電池は最大で8時間持続する。米国で1月にあった世界最大の家電展示会「CES」では他にない発熱機構が高く評価され、初出展ながら最高賞を受賞した。  加熱や保温の技術を向上させ、かばんでお湯を沸かすことが当面の目標。「使い勝手をさらに良くし、日常使いや災害備蓄品として愛されるようアピールしたい」(鈴木太郎) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。