会計検査院は6日、税の無駄遣いなどについてまとめた「2023年度決算検査報告」を石破茂首相に提出。報告書では、国の345事業、計648億円で不適切な状態や支出があったと指摘した。このうち法令違反などの悪質性を認めた「不当事項」は294件。新型コロナウイルス感染症の関連事業も19項目あり、金額は約50億円に上るとみられる。   ◇   ◇  コロナ禍の関連事業では、法令違反の可能性があるなど悪質性が高い「不当」が相次いだ。

都内で会見し、過大受給を釈明する元衆院議員の今村院長=東京都新宿区で(高田みのり撮影)

 元衆院議員の今村洋史氏が院長を務める医療法人有俊会いまむら病院(愛知県一宮市)は、2020~22年度に愛知県から受給した補助金のうち、1億6600万円が「不当」と指摘された。  会計検査院によると、同院は院内消毒の費用などとして、国の交付金を原資とする補助金約3億5900万円を受給。これを検査院が調べたところ、虚偽の納品書や領収書の提出以外に、費用の水増し計上が発覚した。  今村氏は6日、都内で会見し「業者が出してきた納品書と、実際に納品された時期や機種に差異があった。コロナ禍でチェックをする職員もないまま納品書を受け取り、県へ提出していた」などと釈明。今年3月に検査院の指摘を受けて初めて知ったと言い、「公金に対する認識が非常に甘かった」と謝罪した。今村氏は先月の衆院選には東京9区で自民党から出馬予定だったが、派閥裏金問題に関与して公認を得られず、断念していた。

◆発熱外来では7件計7億6900万円の補助金に「不当」

 検査院は他にも、医療機関が発熱外来を設けた場合に国が支給する補助金で7件、計7億6900万円を不当と指摘した。  東京都中野区の「中野訪問クリニック」は20年10月~21年3月の164日間、発熱外来用の14診察室を毎日7時間稼働させて計108人を診察したとして、6億1600万円を受給。ところが会計検査院の調査で、「診察室」の一つがトイレだったり、発熱外来の稼働中とされる時間帯に医師が訪問診療に出たりしていたことが発覚した。検査院が算出した適正交付額は4900万円で、差額5億6600万円余を「不当」と指摘した。(高田みのり) 

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