イタリアの名門マセラティは1914年に古都ボローニャで産声を上げた。ボーラやメラクなどスーパーカーで知られ、特徴あるエンブレムは「海の神ネプチューンの三叉の槍」をあらわす。1世紀を超える歴史を持つマセラティも2016年、SUVレヴァンテを発売する。高い人気に支えられ、23年にはエントリーグレードのグレカーレを投入、日本の道路事情に見合ったサイズで好セールスが続く。イタリアが誇る高級SUVグレカーレに試乗した。

マセラティのエントリーSUVグレカーレ。広い車内とスポーティーな走りで乗る人を選ばない=神奈川県小田原市(ソニーα1 FE70-200mmF2.8GMⅡ)
本革やクロームメッキのパーツが奢られた贅沢なインテリア
コントラストが高く美しい表示の液晶パネル
2リッター直4ターボエンジンに、マイルドハイブリッドシステムが組み合わされ、最高出力は330馬力を誇る
2リッター直4ターボエンジンに、マイルドハイブリッドシステムが組み合わされる

マセラティは風の名前にちなんだ車名が多く、グレカーレは「地中海の北東風」のこと。これまでのスポーツカー好きとは違う、女性やファミリー層に向けて新しい風を吹かせたいという意味も込められる。

3つのグレードが用意され、最上級モデルのトロフェオは、530馬力の3リッターV6エンジンを搭載し価格は1683万円。さらにモデナ、GTと続き、エンジンは2リッター直4ターボ+マイルドハイブリッドとなる。価格はGTが997万円と魅力的な設定でライバルに勝負を挑む。

丸いフォルムのヘッドライトがやさしい雰囲気を演出する
マイルドハイブリッドを搭載し、低速から高速まで力強い走りが味わえる
広々とした車内スペース。本革シートは座り心地がいい
ヘッドライトにもマセラティのエンブレムが刻まれる
マセラティの象徴でもある三叉の槍のエンブレムが存在感を主張する
美しいステッチが施されたトリム
ソナスファベールのオーディオが搭載される

どのグレードもインテリアは出色の出来栄え。本革やカーボンパネルをうまくあしらい上質な空間を演出する。シートやトリムには本革がおごられ、手縫いのステッチは、職人が仕立てたオーダースーツのようだ。スイッチにはローレット加工を施し、さらに重厚なクロームメッキが高級感を増す。

液晶ディスプレーは3面あり、どのパネルも美しい発色で画面が見やすい。センターコンソールには、ナビなどの12・3インチとエアコン用の8・8インチの2つのディスプレーが上下に並ぶ。

ドアは大きく前後ともに乗降性はとてもいい
リアは絞り込まれスポーティーな仕上がり
スイッチやパドルも上品な仕上がりで扱いやすい
グレカーレでは時計が液晶表示になった
ルーフの開閉スイッチもしっかりした作りだ

試乗したのはミドルグレードのモデナで、出力330馬力。GTではオプションとなる運転支援装置が標準装備になっている。

運転席に座ると高級なラウンジにいるような雰囲気だ。スタートボタンを押すとエンジンが始動、スポーツカーのようなエキゾーストノートを奏でる。

スタートする際、シフトレバーが見当たらない。よく見るとナビとエアコンパネルの間に、スイッチがある。慣れれば問題ないが少しあせった。

車重は2トン近いが加速は鋭い。マイルドハイブリッドシステムの「eブースター」が利いているのか、高速のゲートを抜けて本線に向かう急坂を一気に駆け上がる。車高の高いSUVのダッシュは、スポーツカーと違って視界が広く本線の合流もやりやすい。

終始安定した走りで長距離のクルージングも疲れ知らず。横風にも強いが、急なカーブではアンダーステアになるので、丁寧な運転を心がけたい。

広い車内でファミリーでの旅行も楽しそう。個人的にはロードバイクを積んで、緑あふれる高原でサイクリングをしてみたい。グレカーレはラグジュアリーSUVのなかでもコストパフォーマンスに秀でた一台だ。

■グレカーレ モデナ マセラティ

【 定員 】 5人

【 全長 】 4845ミリ

【 全幅 】 1980ミリ

【 全高 】 1670ミリ

【 車両重量 】 1920キロ

【 エンジン 】 1995cc直列4気筒

【 最高出力 】 330馬力

【 駆動方式 】 四輪駆動

【 ミッション 】 8速AT

【 車両本体価格 】 1185万円(税込み)

コンパクトに見えるが、幅は2メートルあり、車内は十分なスペースを確保する
リアの荷室は535リッターと十分な容量
535リッターと十分なスペースを確保した荷室
スタートボタンはルーレット加工が施され高級感がある

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