【ニューヨーク=竹内弘文】米大手投資会社KKRは30日、エネルギー分野を専門とする米投資会社エナジー・キャピタル・パートナーズと提携し、データセンターや関連する電力インフラに500億ドル(約7兆7000億円)規模の共同投資をすると発表した。人工知能(AI)開発に欠かせないデジタルインフラの整備に投資機会を見いだす。
提携を通じ、米国内外のデータセンターや発電施設、送電インフラなどに投資していく。両社には現時点で、データセンター規模を示す電力容量で8ギガ(ギガは10億)ワット以上のデータセンターの整備計画があり、100ギガワットの発電施設(計画中も含む)を保有しているという。
米金融大手ゴールドマン・サックスは米国でのAIデータセンター需要は2030年までに現状の3倍に膨らみ、整備にかかる投資額は1兆ドルに及ぶと推計する。データセンターの電力消費も加速度的に増大する。「電力需要を満たすためには適切なインフラ整備が欠かせない。生産性の向上や国家のAI競争力創出の面で極めて重要だ」。KKRのジョー・ベイ共同最高経営責任者(CEO)は指摘した。
プライベートエクイティ(未公開株)やクレジット投資で知られるKKRは08年にグローバルインフラ投資チームを発足させ、データセンターや通信網を含むデジタルインフラに累計290億ドル投資してきた。直近ではシンガポール通信最大手、シンガポール・テレコム(シングテル)と組み、アジアでのデータセンター投資を進めている。
05年創業のエナジー・キャピタルは米国を中心に、火力、地熱、水力、太陽光など各種発電施設などに投資している。大規模データセンター計画では電力面がボトルネックになることが多いことから、両社の専門性を持ち寄り、投資機会を探る。
大手投資会社各社はデータセンター投資を加速させている。米ブラックロックは米マイクロソフトや中東の政府系投資会社などと連携し、300億ドル規模のファンドを立ち上げる。米ブラックストーンは9月、カナダの公的年金と共同で、オーストラリアのデータセンター運営大手を240億豪ドル(約2兆4000億円)で買収すると発表した。
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