◆消費者物価上昇は37ヵ月連続、終わり見えず
「きちんとした積み上げの下に、昨年を上回る大きな補正予算を成立させたい」。自民党総裁の石破茂首相は15日の第一声で、選挙後に編成する補正予算案について、約13兆円だった昨年度の補正を超える大型支出とする考えを示した。 政権トップによる「規模」への異例の言及には、物価高への積極対応をアピールする狙いが透ける。9月の消費者物価は生鮮食品を除く総合指数が前年同月より2.4%上がった。上昇は37カ月連続で、終わりの見えない物価高が国民生活を圧迫している。 自民は公約に低所得者世帯向け給付のほか、電気・ガス料金やガソリン代の抑制策、給食費の負担軽減などのための重点支援地方交付金の拡充を盛り込み、これらが補正の中心になる見通し。連立を組む公明党も同様の支援策を唱える。◆持続的な賃上げへ最低賃金1500円「早期実現」も
物価高の克服には持続的な賃上げも欠かせない。物価変動の影響を除いた実質賃金はマイナス基調のままで、与野党の多くが最低賃金1500円の早期実現や、人件費を増やす中小企業の価格転嫁支援を訴える。 一方、野党の公約で目立つのが減税だ。立憲民主党は中低所得者を対象に、給付と減税を組み合わせた「給付付き税額控除」の導入を主張。野田佳彦代表は「本当に困っている人に的を絞った対策だ」と強調する。日本維新の会や共産党、国民民主党、れいわ新選組などは消費税の引き下げや廃止で足並みをそろえる。◆識者「アメリカ大統領選では財源も公約に」
だが、与野党とも裏付けとなる財源をどう確保し、実現への道筋をつけるのかは明確に語っていない。日本総研の河村小百合氏は「米大統領選では候補者が財源をどう手当てするか議論し、公約でも明らかにしている。金利のある世界に入る局面での財政運営が差し迫っているにもかかわらず、財源を示さないのは責任ある態度とはいえない」と指摘する。(近藤統義) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。