米投資ファンドのベインキャピタルは、富士ソフトの非公開化に向けたTOB(株式公開買い付け)に関し、18日の同社の取締役会決議に反論する文書を公表した。取締役会決議は対抗する米KKRの非公開化提案への賛同、応募推奨を継続した。ベインは自社のTOB価格の方が高い点などに触れ「全ての株主の利益に資する提案だと確信している」と主張した。
KKRは買い付け価格を1株8800円とするTOBを2段階で進める計画だ。第1回が9月5日〜10月21日、第2回が10月下旬〜11月下旬に設定した。一方のベインは7%上回る同9450円でのTOBを10月11日に提案していた。
ベインは11日に公表したTOB計画で、開始の条件として富士ソフトによる賛同表明を挙げた。反論の文書ではKKRとのTOB価格の差を挙げて「富士ソフト取締役会がベインの提案に賛同しないという判断は少数株主保護の観点から起き得ることがない」と記した。
富士ソフトはベイン提案への意見を後日公表する。ベインは株主に「KKRによる第1回TOBに応募することなく、富士ソフト取締役会がベイン提案に意見を表明するのを待ってほしい」と呼びかけた。
ベイン、KKR双方のTOBが成立して2つの大株主が並立する状況になり得る点にも言及した。富士ソフトの意思決定が困難になり、一般株主に不利益が及ぶ場合は「再度ベイン提案の9450円での退出の機会を提供する」と明記した。
KKRは第1回TOBで筆頭株主であるシンガポールの3Dインベストメント・パートナーズなどから発行済み株式の約33%を獲得できる見通しだ。富士ソフト取締役会は非公開化に向けては3Dなどからの株取得がないと「著しく困難だ」などと指摘し、KKRへの賛同を維持した。
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