三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は年度内にも、KDDIと共同出資するインターネット証券、auカブコム証券の全株式を取得する。KDDIは三菱UFJ銀行が保有するネット銀、auじぶん銀行の株式を取得する。お互いにネット金融会社を完全子会社にすることで、双方が強みを発揮したい分野に経営資源を集中する。
三菱UFJとKDDIはこれまでauカブコム、auじぶん銀行の両社に株式を共同出資して運営してきた。auカブコムはauの金融持ち株会社のauフィナンシャルホールディングス(FH)が49%、auじぶん銀は三菱UFJ銀が22%出資する。今後は証券は三菱UFJが、銀行はKDDIが独自に事業を営む。事業上の協力関係は続ける考えだ。
三菱UFJはauカブコム証券の全株式の取得にあわせて社名を「三菱UFJ」のブランドを冠する形に変更する。銀行からの送客を強化するほか、銀行のアプリを通じてauカブコムのサービスを利用しやすい体制を整える。サービスの連携にあわせてブランドも一体にしてテコ入れする。
auカブコム証券の口座数は足元で約175万にとどまる。手数料の低さに強みを持つSBI証券や、ポイント経済圏との親和性をアピールする楽天証券に水をあけられている。SBIは三井住友FG、楽天はみずほFGと協力関係にある。新しいブランドのもとで幅広い顧客を獲得し、ネット証券分野でのシェアを高めていきたい考えだ。
auじぶん銀は低金利の住宅ローンを強みに顧客を広げており、近年個人の顧客基盤の維持・強化を打ち出す三菱UFJとターゲットが重複する面が出ていた。KDDIにとっては通信事業を強化する上で、銀行サービスとの連携が重要課題になっている。KDDIは今後、単独でauじぶん銀の成長を探る。
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