日銀の安達誠司審議委員は16日、利上げを急ぎすぎて「もう一回デフレになってしまうことは最も避けなければならないリスクだ」と強調した。「(物価上昇率を考慮した)実質金利がマイナスという緩和的な状況を続けながら利上げしていく」と述べ、利上げは慎重に進めるべきだとの考えを重ねて示した。
高松市の金融経済懇談会での講演後に記者会見した。安達氏は慎重な利上げ姿勢は「これまでの(日銀の)金融政策の運営スタンスとも整合的だし、今後も変えていくべきではない」と語った。年内の追加利上げについては「時期はとくに何月とか意識しているわけではない」と述べるにとどめた。
米連邦準備理事会(FRB)による利下げをきっかけに「多少、為替の水準が変わってきた。当面、円安が予想以上に加速することによる物価上昇の圧力はかなり削減されている」と語った。
国内の物価上昇の要因が輸入価格の上昇から賃上げに交代しつつあることを踏まえ、「米国の利下げが急ピッチだから日本は利上げできないという話では必ずしもない」と論じた。「米国経済は非常に予測が難しい」とも付け加えた。
2025年の賃上げ率は「少なくとも今年並みはほしいところだ。そのあたりの数字がベンチマークになると思う」と話した。
安達氏は記者会見前の講演では「極めて緩慢なペースで政策金利を引き上げていく」と述べたほか、「再度のデフレ入りのリスクを意識させるようなドラスチックな政策変更は避けること」とも発言した。
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