会計検査院は11日、本来は有償で貸し付けるべき国有地を財務省関東財務局が半世紀以上にわたり実質無償で貸し出していたなど、国有財産の管理が不適切な状況にあったとして、同局に改善を要求した。 　会計検査院によると、国有地は埼玉県営戸田公園（埼玉県戸田市）内に所在する約2万2000平方メートル。1964年の東京五輪でボート競技会場として使われた後、1965年に当時の大蔵省が引き継ぐと、1966年に埼玉県が公園利用のための無償貸し付けを申請した。この際、公園の一部が競艇場となっていたため、財務局側は有料興業範囲を有償貸し付けとする方針を決定。契約締結までに限って管理委託の形を取ったが、その後も契約が結ばれず、今年5月の検査時点でも実質的な無償貸し付けが続いていた。 　また、1965年以降、土地のほとんどを登記しておらず、約1200平方メートルの部分については1972年に戸田市が所有権を登記していたことも発覚した。

◆「適切に管理を行わなければならないとの認識が欠けている」

　会計検査院は、管理委託時に国有財産法に基づく契約書の作成がされていなかった点などに触れ「適切に国有地の管理または処分を行わなければならないとの認識が欠けている」と指摘。速やかに貸し付け契約を結ぶことなどを求めた。 　関東財務局を管轄する財務省理財局の担当者は、過去の埼玉県側との交渉では折り合いがつかなかったと説明。その上で「契約締結に向けて適切に対応していく」とし、未登記状態の国有地についても現在測量を進めていると答えた。また、埼玉県側は「国が実施している測量結果などに基づき協議していくことは確認している」、国有地の一部を登記していた戸田市も「関東財務局と話し合いを進めていきたい」とした。（高田みのり） 

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