1日に首相に就任した石破茂氏は、かつて農林水産相も務めた「農政通」とされる。店頭から一時米が消え、新米価格も値上がりする中、米の生産を抑制することで価格下落を回避する現行政策の見直しに前向きな姿勢を示してきた。米を巡る政策の行方に注目が集まる。

◆麦や大豆などを作る農家に補助金

1日、自民党の代議士会で発言する石破茂氏(佐藤哲紀撮影)

 新米の流通で一時期のような品薄状態は解消されたが、9月の東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値、2020年=100)。コメ類は前年同月比4割以上の上昇と、高値が続く。  値上がりの要因の一つとして指摘されているのが、政府が行う生産調整。農水省は、米の消費量が毎年約10万トンずつ減少しているとして、米の代わりに水田で麦や大豆などを作る農家に補助金を出している。

◆党内の大勢は「生産調整維持」派

 石破氏は農相時代の2009年、省内に設置したチームで、生産調整の仕組みを見直した場合の米価や生産量、財政負担などを分析し、生産調整の緩和が望ましいと結論づけた経緯がある。総裁選中も、毎年3000億円以上の税金を投じて農地や農業生産を減らしている現行制度を問題視。むしろ米を作り、世界に輸出する政策を主張した。  同様の政策を主張する元農水官僚でキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「実現すれば今回のような米不足は起こらない。米の値段も下がり、主業農家は所得補塡(ほてん)を得られる」と評価。ただ、党内は生産調整の維持派がほとんどだとして、「消費者が米の政策に関心を持っている今が改革の絶好のチャンスだが、実現のハードルは高い」と話した。(砂本紅年) 

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