コメルツ銀行株の追加取得を発表したウニクレディト

【ロンドン=大西康平】イタリア金融大手ウニクレディトは23日、ドイツ金融大手コメルツ銀行の株式の約11.5%を追加取得する取引を結んだと発表した。既存の持ち分との合計は約21%と筆頭株主となる規模だ。規制当局の承認が得られれば、取引に基づいて株式売買が決済される見通しだ。

コメルツ銀行株の10%超から29.9%までの取得について、規制当局へ申請を提出したことも明らかにした。11日には約9%の取得を発表し、第2位株主に浮上していた。

ウニクレディトは「欧州の強力な銀行同盟が経済的成功の鍵となる。ドイツの銀行部門の成長と競争力の確保が重要だ。ドイツでは20年近く事業を展開してきた」とコメントした。

23日の欧州株式市場では、発表後の両行の株価は前週末比で下落した。ウニクレディトは一時前週末比3%安となった。コメルツ銀行は下げ幅を縮めたが、約1%安の水準で推移している。

ドイツ政府は買収に後ろ向きの姿勢を見せる。20日、12%を保有するコメルツ銀行の株式を当面は売却しないと発表した。3日に経営支援に区切りがついたとして株式の段階的な削減を公表したばかりだった。

ウニクレディトは2005年にミュンヘンに拠点を置くヒポ・フェライン銀行(HVB)を買収した。買収後にリストラを迫られた経緯があり、コメルツ銀行の従業員らは大規模な人員の削減や支店の整理を警戒する。

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