医師が創業した「iCARE」(アイケア、渋谷区)は働く人の健康づくりを支援するサービスを提供している。

◆「働くことで健康を損ねる。そんな社会を変えたい」

 心身の満たされた状態を指す「ウェルビーイング」経営や健康経営という言葉が広まる一方、精神疾患による労災の請求、認定件数は増加傾向にある。「働くことは本来ワクワクするもの。だが実際は働くことで健康を損ねる事態が起きている。そんな社会を変えたい」。産業医で同社代表取締役CEO(最高経営責任者)の山田洋太さん(44)は語る。

会社設立への思いを語るiCARE代表取締役CEOの山田洋太さん=渋谷区で

 沖縄県などで内科医として勤務。心療内科では仕事が原因でうつ病などを発症した患者を多く診てきた。「働く人の健康づくりは医療機関だけでは限界がある」と痛感。仕事を原因とするストレスや不調はその原因を改善しなければ本質的に解決しないと起業した。

◆心身の不調を早期察知 従業員目線でデータ分析

 ストレスチェックや健康診断のデータをもとに顧客企業の課題を分析し、産業医ら専門家が組織的な改善策を助言するサービスを提供している。不調を早期に察知し、未然に防ぐ仕組みを人事担当者らと一緒につくり上げていく。「部下の不調を予測して対応できる優れたマネジャーに誰もがなれるわけではない。だからこそ組織の仕組みや環境を変えることが必要」  データ分析で重視するのは従業員の目線。例えば従業員向けに導入した施策の評価では利用率よりも、本人がどれだけ良かったと感じたか、働きがいにつながっているかなど「主観」を点数化している。「働くひとの健康を世界中で創る」という目標に向け、サービスの改良を続けている。(押川恵理子) 

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