【ワシントン=新井惇太郎】日銀の植田和男総裁は米ワシントンで19日、「基調的な物価の上昇が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に高くなる」と述べた。長期国債の買い入れ減額については「どのようなタイミングで、どのようなスピードで減らすかは時間をかけて検討し判断したい」と語った。
マイナス金利政策を含む大規模緩和の解除など日銀による最近の金融政策の変更をテーマに、米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長と対談した。
日銀は3月にマイナス金利を含む異次元緩和策を解除した。今後の金融政策運営では、賃金上昇などを通じて物価が基調的に上昇していくかを慎重に見極めようとしている。最近の円安が輸入品価格の上昇を通じて、国内の物価に与える影響も分析していく方針だ。
植田氏は日本のこれまでの金融政策の教訓について問われ、「物価が上がらないという期待が定着すると、経済はその均衡から抜け出すのが難しくなる。そのような状態に陥らないようにするのが最善だ」と指摘した。「名目金利がゼロになることで生じる制約に注意しなければならない」とも言及した。
景気や物価を過熱したり、冷え込ませたりしない「自然利子率」に関し、植田氏は推定が難しいとしたうえで「今は日本は米国よりも低いと言える。日本から米国へ資本が流出する可能性が高いが、30年前から起きていることだ」と話した。
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