損害保険大手の東京海上ホールディングス(HD)は19日、国内損保では初となるデジタル人材の新たな育成プログラムを開発し、7月から企業向けに販売を始めることを産経新聞の取材で明らかにした。デジタル人材の中でも特に需要がある、事業変革を主導する企画力などを持つ「ビジネスアーキテクト」育成に特化した新プログラム。大量の情報(ビッグデータ)を分析、活用する「データサイエンティスト」用の育成プログラムも併せて拡充し、非保険分野の収益拡大につなげる。
大企業向けも想定
同社では令和2年からグループ外の企業にも、同社の社員向けの研修のノウハウを踏まえたデータサイエンティストの育成プログラムを販売している。これまでに社外から一定の受講がある中、ビジネスアーキテクト育成に対する需要が根強く、新たに開発に踏み切った。顧客は自社でデジタル人材育成が難しい中小企業だけでなく、大企業も想定する。
東京海上HDで実務を担うデータサイエンティストを中心に同社が共同で事業を行っているITシステム会社と連携して、育成プログラムを作成した。実際の事業の企画などを踏まえて作成したもので、幅広い実務への応用が可能といった特徴があるという。
接点を増やし顧客開拓に
少子高齢化に伴う人口減少で国内の損保マーケットの縮小が見込まれる中、東京海上HDは、保険だけで十分に解決しない周辺領域の新規事業開発にも注力している。今回の新たなデジタル人材育成プログラムもその一環だ。業界や企業規模にかかわらず、幅広い企業に提供を目指すことで、既存の保険ビジネスでは接点の少なかった顧客獲得にもつなげる狙いもある。(永田岳彦)
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