子どもを育てる女性が働きたくても働けない要因を都道府県で比べて可視化しようと、エコノミストが独自に「子育て世代の女性の働きやすさ指標」をつくった。働きやすさの首位は高知県で、首都圏では東京都が14位に。神奈川県が37位、群馬県が39位、埼玉県が46位と下位だった。

◆「東京は、働きやすいというより…」

 指標をつくったのは、浜銀総合研究所(横浜市)の遠藤裕基氏。25〜49歳を子育て世代に設定した。  公的保育サービスの利用しやすさ、親に頼れるなどの私的保育環境の良さ、男女間格差の小ささといった三つの要因が働きやすさにつながると考えた。関連する国の九つの統計(保育所定員率、三世代同居率、男性の家事育児負担率、男性の長時間労働者比率、女性の正規雇用比率、男女間賃金比率など)を合成し、算出した。  首位の高知は、保育所定員率や男性の家事育児負担率が全国平均より高く、男女間賃金比率や女性管理職比率などの男女間格差も相対的に小さかった。  比較的上位だった東京は、女性の正規率と男性の育休利用比率の高さが順位を押し上げた。しかし、遠藤氏は学童保育登録率や三世代同居率といった保育要因が低い点に触れ「東京は、働きやすいというより女性がキャリアを重視して無理する形で働いているのではないか」と話す。

東京駅周辺のオフィスビル群

 神奈川は公的保育サービスの利便性が良くなく、群馬と埼玉は男女間格差の大きさが目立つという結果に。首都圏ではこのほか、栃木県が23位、茨城県が28位、千葉県が29位だった。  遠藤氏は上位県は男性の長時間労働者比率が低い上、家事負担率が高いと指摘。「男性が極端に無理しないことは女性の働きやすさにとって重要。男女間格差に着目して企業や自治体の施策に活用してもらいたい」と話す。(畑間香織) 

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