政府は17日、3月に日本を訪れた外国人客が単月で初めて300万人を突破し、過去最多となったと発表した。西日本の玄関口、関西国際空港も往時のにぎわいを取り戻している。さらなる訪日客増加を見込む2025年大阪・関西万博を前に、平成6年の開港以来初となる第1ターミナル(T1)の大規模改修に着手し、訪日客の受け入れ態勢を強化している。
今年3月の国際線総旅客数は速報値で198万人に達し、新型コロナウイルス禍以降で1カ月あたりの最多旅客数を記録。就航便数は3月末からの夏ダイヤで週1392便と、コロナ前の約9割の水準になり、順調な回復をみせている。
関空を運営する関西エアポートの山谷佳之社長は「万博の年にはコロナ前を超える旅客を迎え入れるため、整備を進める」と意気込む。
令和3年5月から始まったT1改修は、万博開幕直前の7年春には、スマートレーンを6台増設した保安検査場エリア拡張など主要機能を完成させる。第2ターミナルを含め、国際線旅客の年間受け入れ能力は平成30年度実績値の約1・7倍、約4千万人に拡大する。
喫緊の課題は、地上支援業務や保安検査にあたるスタッフの不足だ。各地でコロナによる離職が相次いだ後、旅客回復に人員確保が追い付かず、関空も昨年末時点でコロナ前の8割ほどの人員状況という。関西エアでは、保安検査場の入場前の自動ゲート設置などを進め、航空会社には混雑時間帯を避けた就航、増便を呼びかける。
空港に乗り入れる鉄道も減便していたが、旅客回復とともに運行状況を元に戻している。人気の観光地、京都と結ぶJR西日本の特急「はるか」は5分の1の上下12本まで落ち込んだが、4年11月からコロナ前と同じ60本で運行する。
南海では昨年11月から訪日客向けに2次元コード乗車券の販売を始め、JR西も同様の取り組みを準備する。空港からの移動にも利便性向上が図られている。(藤谷茂樹)
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