水道料金の仕組み 一般的に、メーターの口径などに応じて契約者が等しく負担する「基本料金」と、ある一定以上の水量から使用量に応じて負担する「従量料金」からなる。人件費や動力費、施設修繕費などの費用は原則、料金収入で賄う「独立採算制」がとられる。多くは市町村が経営し、複数の自治体が設立した企業団や県が経営する地域もある。
◆「健全経営に値上げ必要だが…」
首都圏の1都6県では、人口密度の低い千葉県南部や茨城県北部、埼玉県西部などで必要な値上げ率が高くなった。うち茨城県北茨城市は1カ月に20立方メートルを使う標準的な世帯で、46年度の料金が現状の2.5倍の約9000円と試算された。市の担当者は「厳しい数字だが、単純な収支だけを考えれば、あり得ない額ではない」と危機感を募らせる。![](/uploads/images/20240627/777eee799bafbad9bc.jpg)
◆最高値は福島・鏡石町1カ月2万5000円超予想
調査は会計監査の「EYジャパン」(東京)などが担った。料金の全国平均は21年度の3317円が、46年度に4895円に上がる見通しだ。水道を経営する市区町村など1243団体のうち、96%で値上げが必要とされた。全国最高値は福島県鏡石町で、1カ月の料金が46年度に2万5837円になると推計。最安値1266円(静岡県長泉町)の約20倍で、21年度時点の8倍と比べ格差が大きく広がった。![](/uploads/images/20240627/3271a9cdf51557c8bf.jpg)
◆近隣自治体と経営効率化の動き加速
水道の苦しい経営状況を打開しようと、近隣自治体との経営統合や連携で、経営を効率化する市区町村が増えている。管理コストの削減や、限られた職員の集約による専門技術の継承の効果が期待されるが、自治体間の調整に手間がかかり、思うように進まない地域もある。![](/uploads/images/20240627/e354d38ad30b425a00.jpg)
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◆料金格差大きい自治体同士は連携難しく
全国の水道経営を研究する日本水道協会調査課の宮田義範課長は「経営統合は経費がかかる地域の分まで住民に料金負担を強いるため、料金格差が大きい市町村同士は一般的に進みにくい」と指摘する。完全な経営統合以外に、相談窓口や料金徴収など一部業務の共通化、設備更新工事の共同発注など地域の実情に沿った連携がみられるという。 しかし、こうした経営改善策があっても、EYジャパンはあくまで全体の値上げ率が抑えられるだけだと予測。宮田課長は「蛇口の水は無料ではなく、不断の努力でできている。浄水場や水道管は利用者の共有財産だという意識で利用してほしい」と呼びかける。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。