仲間らとともに「近大ラーメン」店を運営する3代目店主の前田凛多朗さん(右から3人目)=大阪府東大阪市の近大東大阪キャンパス

新年度が始まった4月から、近畿大学(大阪府東大阪市)の新たな名物となった学食「近大ラーメン」経営者ののれんを引き継いだ。学生によるラーメンベンチャー「近大をすすらんか。」の3代目店主に就任したのは、国際学部4年の前田凛多朗(りんたろう)さん(21)=大阪市。「近大ラーメンを全国区にし、『起業大学』というイメージを浸透させたい」と意気込む。

同学部に進んだのは、英語を勉強し、「将来は外資系企業で働きたい」という夢があったという。

だが、新型コロナウイルス禍が続いた大学生活で「人生の分岐点になった」と振り返るのは約1年前。近大ラーメン2代目店主で、今春卒業した村上黎一郎さん(22)に「働いてみないか」と誘われ、アルバイトで店頭スタッフの一員として店に関わり始めた。先輩の背中をみて、「自分も代表(店主)をやってみたい」と思い、3代目店主を選ぶ学内選考で勝ち上がった。

今月2日からオープンした店頭では①近大まぜそば(500円)②近大魚介塩まぜそば(同)③近大油そば(600円)-の3種を定番メニューで販売する。

①は初代で、近大発ベンチャー「やるかやらんか」(奈良県橿原市)社長の西奈槻さん(23)、②は2代目の村上さんの各時代のメニューを引き継いだ。③は自らレシピを考え、学内選考会で提案した思い入れの強いメニューになる。

客1人当たりの売上高を示す客単価は550円を想定。油そばは他のメニューより割高だが、こだわりのコロコロチャーシューを入れて「2代目の時代に期間限定で販売し、人気で売り上げが上がった」という自信作である。

自ら考案した「近大油そば」を手にする近大ラーメン3代目店主の前田凛多朗さん=大阪府東大阪市の近大東大阪キャンパス

「味が濃い」といった学内選考での審査員らのアドバイスも聞き、開業までに味を改善したという。

来年3月予定の卒業まで、2代目のスタッフや新しいメンバーも加え、約20人体制で店舗を運営する。この1年間のうちに、他の定番メニューやサービス品も検討し、近大ラーメンの知名度を全国区に広げるため、「いろんなイベントにも出店したい」と語る。

卒業後は入学時に考えていた就職ではなく、自身で起業するという人生プランが固まりつつある。

「ラーメン店を1年間やってみて、1年後に考えが変わるかもしれないし、(2代目の)村上さんのように卒業後にラーメン店をやるかもしれない。自分の好きなことを仕事に情熱を注げることができたらいいが、将来は海外、特に米国で飲食店をやってみたい」

次は近大発の起業家として自身が後輩らの手本になろうと気合を入れる。(西川博明、写真も)

まえだ・りんたろう 平成15年生まれ、大阪市城東区出身。近畿大学国際学部で国際協力などを専攻する一方、近大ラーメン3代目店主に就いた。店舗は近大キャンパス内のブロッサムカフェ1階にあり、平日午前11時~午後3時(土日祝、大学休暇期間休み)に営業している。

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