内閣府が16日発表した2024年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は物価変動を除く実質で前期比0.5%減、年率換算は2.0%減だった。一部の自動車メーカーの認証不正問題による出荷停止が響いたほか、物価高に伴う家計圧迫が続いて個人消費も振るわず、2四半期ぶりのマイナス成長となった。  実質GDPを項目別に見ると、5割超を占める個人消費は前期比0.7%減で4四半期連続のマイナス、企業の設備投資は0.8%減で2四半期ぶりに落ち込み、国内需要は振るわなかった。海外需要(外需)は輸出から輸入を差し引いた値が大きいほどGDPを押し上げる仕組みだが、輸入は3.4%減と3四半期ぶりに減少したものの、輸出が5.0%減で4四半期ぶりに大きく落ち込んだため、全体としてマイナスになった。  景気実感に近いとされる名目GDPは前期比0.1%増、年率換算は0.4%増だった。(山田晃史)

◆物価高深刻、賃上げの波及も不十分

 1~3月期の実質GDPは、数値の半分以上を占める個人消費の低迷が続いていることを示す結果となった。個人消費の4四半期連続マイナスは、米国発の金融危機だったリーマン・ショック前後以来15年ぶりだ。それだけ、今の低迷を招いた物価高の深刻さを表す。  今年の春闘では大手企業を中心に大幅な賃上げが実施された。だが、物価変動を除いた実質賃金は24カ月連続のマイナスと、物価上昇を上回る勢いはない。雇用の約7割を占める中小企業への波及が不十分だからだ。  政府は物価高対策として、今年6月に一人当たり4万円の減税と給付を行う。ただ、その実施とほぼ同時期には、電気・ガス料金に対する政府の補助金が終わり、値上がりする。食料品などの値上げもいまだ収束する気配もなく、減税の効果が相殺されかねない。  物価上昇だけが節約志向の原因ではない。バブル経済崩壊後の「失われた30年」に形成された価値観は根強い、とあるエコノミストは指摘。人口減少する日本の成長力などへの不安も消費への意欲をそいでいる。  仮に効果があっても、減税は一時的な対症療法にすぎない。賃上げの持続化や中小企業への浸透はもちろん、少子化を食い止めるような抜本策を政府が打ち出すことができなければ、不安の根底にある節約志向の払拭は難しい。(山中正義)


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