高齢化や厳しい経済環境を背景に職を求める高齢者が増える中、不動産情報サイトなどを運営する企業LIFULL(ライフル、東京)が、65歳以上を対象とした求人を始めた。採用枠は、高卒や大卒ならぬ「老卒採用」。高齢になったら引退するといった「老い」の既成概念から卒業しようとの思いが込められている。

JR品川駅の通勤風景(資料写真)

 募集しているのは、営業、法務、クリエーティブ(コピーライター)の各部門で働く経験者。年齢の上限は設けず、採用者とは業務委託の契約を結ぶ。契約期間は当初1カ月から始め、実績に応じて更新していく。給料は応相談という。応募締め切りは6月10日。

◆「長年培った経験生かしたい」

 募集の背景には、「長年培った経験をこれからも生かしたい」と希望するシニア層の増加がある。  厚生労働省の統計では、ハローワークに登録して職を探す65歳以上の有効求職者は13年度は約12万人だったが、22年度は2倍以上の約24万6000人まで増えた。ライフルが65歳以上の就業者300人に実施した調査でも「経験や技能を生かして働くことを希望する」との回答が83%に上った。  一方、同社の調査では、こうした意欲的なシニア層を「積極的に採用する」と答えた企業の採用担当者は、300人のうち21%にとどまる。働きたいとの思いを受け止める企業が限られているのが実情だという。  伊東祐司社長(41)は「シニア層のスキルや経験を生かすことが日本社会全体の活気につながる」と、その意義を強調。「老卒枠」を採用する企業の広がりに期待を寄せている。(押川恵理子) 

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