豊見城市出身で県内に住む小説家、カミツキレイニーさん(41)が原作を手がける漫画「琉球バッカニア」が一迅社のウェブ漫画誌「comicHOWL」で11月から連載中だ。漫画化のための書き下ろしは今作が初めて。「逃げたくなってもしょげずに、怒りを持って立ち向かう主人公の姿に共感してほしい」と語った。(社会部・末吉未空)

 舞台は激動の幕末。没落した元琉球士族の玻名城(はなぐすく)武太(むた)は、那覇で病気の母を支えるため、盗みをしたりして貧しい生活を送っていた。そんな中、日本のとある島に伝説の海賊が残した財宝が眠っているといううわさが流れ、人生一発逆転を懸けた財宝争奪戦に立ち向かう物語だ。

 カミツキレイニーさんは21歳で映画監督を目指して上京したが、制作には至らない日々が続いた。アルバイトをしてシナリオを書きためる中、撮影費用のかからない小説家へと転身。2019年ごろに沖縄へ戻ってきた。

 一度は地元を離れたことで、生まれ育った沖縄の文化や歴史に引かれた。今作の第1話では、那覇大綱挽(ひき)から着想を得た巨大な綱と、まちの人々の様子が迫力満点に描かれている。「沖縄の空気感を感じてほしくて、資料館に足を運んだり、文献を読んだりした。沖縄のことを伝えられるのは県出身者である強み」と話す。

 主人公の武太については「うっ屈していて常にピンチであってほしい」と語る。背景には社会に対する不満と、それを力に変えてほしいという願いを込めた。「琉球の人は、この小さな島がいつ他国から侵略されるか分からないという不安や不満があったのでは」と考える。

 過去と現在では状況が異なると前置きした上で「政治や大多数に決められた運命に押さえつけられることへの不満は、今も共通しているのではないか。でも、若者たちはその状況を突き破るパワーを持っている」と語る。「沖縄の少年や県内外の読者が、武太のがむしゃらに生きる姿を通してそれぞれの目標に向かって頑張る力になったら」と力を込めた。

 作画は「KIMURA×CLASS」を描いた土井那羽さん(23)が手がける。「琉球バッカニア」は毎月第1水曜日に更新される。作品はQRコードから。

(写図説明)「琉球バッカニア」のメインビジュアル(一迅社提供)

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