12月1日にJR徳島駅周辺で開催された「徳島おどりフェスタ」。関連イベントとして、阿波踊り発祥の地の徳島城跡を会場に、冬の夜に屋外で技量の高い有名連が他の音楽ジャンルと融合した踊りを披露するという400年超の歴史で初の試みがあった。
徳島市が本場の阿波踊りの起源には諸説あるが、蜂須賀家政によって徳島城が1586年に竣工した際の祝賀行事として始まった「築城起源説」や、旧暦7月ごろに実施された「盆踊り起源説」がある。阿波踊りは夏の屋外で開催される前提のため衣装も夏服で、冬の夜に観客が屋外で観覧する光景は珍しい。
徳島県主催の「秋の阿波おどり」は、2023年まで徳島市の屋内施設「アスティとくしま」で11月上旬に実施されていたが、徒歩圏内にJRの駅が無いこともあり観客も少なく、地域への経済波及効果の大きい夏の人出にはほど遠かった。そこでJR徳島駅周辺の活性化に注力する県は、会場を駅周辺に変更。日程もディズニーパレードで人が集まる12月1日に合わせた。
当日は、名勝の旧徳島城表御殿庭園の近くに設けられた特設舞台では、徳島市出身の俳優で「阿波とくしま観光大使」の椿欣也さんが城主の蜂須賀家政公に扮し、蜂須賀家の名前や家紋を冠した技量の高い阿波踊りグループを舞台劇の中で次々と紹介していった。
特別演舞では、阿波踊り連だけで完結させる従来の形式を超えて、他のジャンルのアーティストたちとコラボした演舞を披露。グループの一つ「天水連」の鳴り物がぞめき囃子を奏でると、着物姿で和楽器を弾く女性ポップスグループ「新生・ほう楽☆ガールズ徳島」の箏曲も添えるように音色を響かせ、一緒に踊って融合した。
両グループに所属する徳島文理高1年の堀金瑚白(こはく)さん(15)は、前日に大津市で開催された津軽三味線の全国大会の初級部門で優勝し、20歳以下の甲子園部門でも準優勝したばかり。若者の目線でおしゃれに着物を着こなし、「観客には、古き良き伝統の阿波踊りを新世代の若者が進化させた雰囲気を楽しんでもらえたと思う」と話した。
今回の催しの運営を担った神戸市の一般社団法人「おんげん」代表の佐藤玄主玄主(くろす)さん(25)は、阿波踊りを通じた集客について「歌舞伎や能は飛び入り参加する敷居が高いが、阿波踊りは飛び入り参加のハードルが低く、言語の壁を越えてインバウンドにも楽しんでもらえるコンテンツだ」と評価している。【山本芳博】
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