東京都渋谷区の将棋会館で13日に指された第83期名人戦A級順位戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)が異例の終局を迎えた。渡辺明九段(40)が痛めていた脚の状態が悪くなり、「対局が続けられない」と申し出て、千田翔太八段(30)に投了を告げた。
渡辺九段は夏前ごろにフットサル競技中に膝を痛め、最近になって痛みが悪化したため近く手術を予定している。この日も脚に負担が少ない椅子に座っての対局だったが、時折脚をさする姿が見られた。
午後6時40分に夕食休憩が明けると、渡辺九段は天井を仰いだりうつむいたりと落ち着かない様子を見せた。小声で「脚、痛い」とつぶやく場面もあった。
午後7時17分、離席していた千田八段が席に戻ると「体調が悪くて最後まで指せそうにないのでここで投了します。申し訳ないです」と告げた。千田八段は「えっ」と驚きつつ、「大丈夫ですか」と渡辺九段の体調を気遣っていた。
終局後、渡辺九段はタクシーで帰宅。千田八段が一人で観戦記者や記録係を相手に感想戦に臨んだ。【丸山進】
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