阪神甲子園球場での将棋イベントの記念対局をした藤井聡太名人(左)と羽生善治九段=阪神甲子園球場で2024年12月9日午後3時53分、加古信志撮影

 日本将棋連盟と阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)が今年、創立、開場から共に100周年を迎えたのを記念し、将棋連盟会長の羽生善治九段と藤井聡太名人が8日、同球場内の貴賓室で対局した。対局の様子はバックスクリーンのメインビジョンに映し出され、プロ野球・阪神タイガースの大ファンである谷川浩司十七世名人らが内野スタンドで大盤解説に立った。約3800人の将棋ファンと野球ファンは冬のやわらかい日差しを浴びながら夢のコラボイベントを楽しんだ。

 対局は持ち時間各30分の早指し戦。振り駒で藤井名人が先手番を握り、「角換わり早繰り銀」と呼ばれる戦いになった。早指し戦ならではの激しい攻め合いが続き、羽生九段が120手で勝った。

甲子園球場での将棋イベント「100周年記念対局」で行われたトークショー。左から室谷由紀女流三段、阪神の才木浩人投手、井川慶さん、谷川浩司十七世名人=阪神甲子園球場で2024年12月8日午後0時51分、加古信志撮影

 感想戦で観客の前に立った藤井名人は「100年に1度の対局なので大変緊張した。積極的に指していったが、羽生九段にうまく切り返された」と話し、羽生九段は「いい記念になった。藤井さんから100周年のお祝いをいただいたような感じがする」と笑顔を見せた。

 この後、谷川十七世名人が両対局者に野球場らしいエールを送ることを提案すると、観客から手拍子が起こり、「かっ飛ばせー、藤井」「かっ飛ばせ-、羽生」の大声が球場内にこだました。

 また、記念対局の前には、谷川十七世名人と室谷由紀女流三段が、阪神OBの井川慶さん、現役の才木浩人投手とトークショーに出演した。

 2007年に将棋連盟から1番目の将棋親善大使を委嘱され、初段の免状を贈られた井川さんは「最初は振り飛車を覚えたがしっくりこなくて、居飛車党になった。今日は勉強して帰ります」と声を弾ませ、オンライン将棋を楽しんでいるという才木投手は「いろんな戦術を考えるのが楽しい。先のことを考えるのは、野球の配球にも生きる」と話していた。

 一方、ブルペンでは「小学生将棋甲子園」も開催され、全国の小学生128人が参加した。低学年の部で優勝した東京都江戸川区の小学3年、宮野智輝さん(9)は表彰式で将来の夢を聞かれると、「将棋のプロ棋士です」と答え、母の三穂さんは「いい記念になりました」と喜んでいた。【新土居仁昌】

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