日本の「伝統的酒造り」が日本時間12月5日に無形文化遺産に登録され、岩手県内の酒蔵に喜びが広がっている。
340年の歴史を持つ吾妻嶺酒造店や東日本大震災を乗り越えた酔仙酒造など、各地の酒蔵が伝統を守り抜いてきた。
吾妻嶺酒造店の蔵元は、世界に認められた日本酒文化を「日本人が心から愛してやまない日本酒を世界の皆さんと共有できれば」と期待を込めた。

ユネスコの無形文化遺産に登録が決まった5日朝も、2024年で創業340年の紫波町の吾妻嶺酒造店の酒蔵では、蔵人たちが酒米を蒸しあげ、昔ながらの仕込み作業が行われていた。

国内最大の杜氏集団・南部杜氏の発祥の蔵とされる吾妻嶺酒造店でも、無形文化遺産登録を特別な思いで受け止めていた。

吾妻嶺酒造店 第十三代蔵元 佐藤元さん
「日本人が本当に心から愛してやまない日本酒を世界の皆さんと共有できれば。できれば一緒に乾杯したい」

「伝統的酒造り」は、日本時間12月5日未明、パラグアイで開かれたユネスコの政府間委員会で無形文化遺産登録が決まった。
穀物を原料とする「こうじ菌」を用いた「伝統的酒造り」は、杜氏や蔵人が気候や風土に合わせて築き上げた技術が日本酒などの製造に受け継がれてきた。

吾妻嶺酒造店では今後も伝統を守り続ける思いを新たにしていた。

吾妻嶺酒造店 杜氏 熊谷茂夫さん
「由緒ある蔵なのでここの味を守って、楽しくおいしく飲めるような酒造りを目指して頑張っていきたい」

県内各地の酒蔵が今回の登録を喜んでいる。

陸前高田市の酔仙酒造の杜氏・金野泰明さんは「『やっとか』という気持ち。正式に決定してすごくうれしい気持ちです」と喜びを語った。

酔仙酒造は東日本大震災の津波で事務所や工場が流失した。その後、大船渡市に新たな酒蔵を再建し、伝統を絶やすことなく今日まで歩んできた。

酔仙酒造 杜氏 金野泰明さん
「沿岸にも津波に負けずつないできた酒造りの技術と文化があることを引き続き発信していきたい」

世界から評価された日本の酒造り。
清酒の輸出額は2022年は475億円と過去最高に達していて、日本貿易振興機構(ジェトロ)でも需要増加に期待をかけている。

ジェトロ岩手 米倉大輔所長
「海外でも日本食・日本食レストランが人気が高いなかで、さらにユネスコに登録され、これからますます海外の日本酒需要が高まっていくのではないかとうれしい」

日本ではこれまでに「鬼剣舞」を含む「風流踊」などが無形文化遺産に登録されていて、今回が23件目となる。

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