俳優の洞口依子のデビュー40周年を記念する「洞口依子映画祭 沖縄桜坂劇場編」が2~4日、那覇市の同劇場である。1985年公開の映画「ドレミファ娘の血は騒ぐ」(黒沢清監督)で映画デビューし、今年の米エミー賞で史上最多の18部門を受賞した「SHOGUN 将軍」にも出演した洞口のデビュー作など9作を上映する。「11月3日は『ドレミファ娘』が公開された記念日。50代最後の年に面白いことをやって、自分を飛び越えたい」と話している。(社会部・真栄里泰球)

 -「SHOGUN 将軍」では主人公の妻を演じた。

 「言葉も文化も違ういろんな国の人たちが集まって、日本の時代劇というカテゴリーに挑戦する環境で、私もデビュー当時に戻れるようなきっかけをもらいました。真田広之さんが演じる吉井虎永の正室をどうやるか、頂いた脚本に丁寧に向き合いました。時代劇が今の技術を駆使して大きなスケールで見やすいエンタメになっていて、ファンが多いのは納得です」

 -エミー賞の授賞式にも参加した。

 「真田さんたちとチーム一丸でその場にいることが名誉というか、オリンピック選手団みたいな気持ちでした。長く俳優をやっていると、こういうこともあるんだなって、驚きとうれしさと、本当にありがたい気持ちでいっぱいでした」

 -映画祭では自らセレクトした9作品を上映する。

 「私は作品に恵まれていて、過去の映画を誇りに思って皆さんにお出しできるのは、本当に運がいいなって思っています」

 -「パイナップル・ツアーズ」(1992年)や「探偵事務所5 マクガフィン 劇場版」(2006年)は沖縄で撮影した。

 「『パイナップル』は伊是名島で夢中になって撮影しました。『マクガフィン』は子宮頸(けい)がんを患ってからの復帰作で、自信というか、もっと人生を楽しみたいという希望を取り戻すことができました」

 -映画以外でもつながりができた。

 「沖縄の人たちと仲良くなって、行き来を重ねるうち、沖縄にもっと興味を持ちました。今年生誕100年になる外間守善先生と宮古島の神歌を調査された新里幸昭先生をお訪ねして、神にささげる歌を集める過程のお話をお聞きして、ロマンを感じました。外間先生の著書『沖縄の食文化』がちくま学芸文庫から復刊されたのは、私のSNSでの発信がきっかけだと聞いて、少しは私も沖縄の何かに貢献できたのかと、うれしかったです」

 -映画祭は10月23~27日の東京に続く開催だ。

 「東京では毎日多くの人に来てもらえた。記念のレコードや冊子も頑張って作りました。レコードって黒いビニール溝に音楽が入っているのが、すてきじゃないですか。冊子には驚くような人たちが寄稿してくれました。沖縄でも私は会場にいますので、お気軽に声をかけていただいて、映画や沖縄のことを、ゆんたくできたらと思っています」

 どうぐち・よりこ 1965年生まれ。80年に週刊朝日11月7日号の表紙(篠山紀信撮影)に起用され、85年に「ドレミファ娘の血は騒ぐ」で映画デビューした。映画「タンポポ」「マルサの女2」、ドラマ「北の国から’89 帰郷」「愛という名のもとに」などで注目を集める。著書に子宮頸がんの闘病経験などを記した「子宮会議」。

■「洞口依子映画祭」の上映日程

 【2日】午後1時「パイナップル・ツアーズ」▽同3時20分「探偵事務所5 マクガフィン 劇場版」(洞口、當間早志監督が舞台あいさつ)▽同5時20分「夏の妹」

 【3日】午後2時「ザ・ギャンブラー」▽同3時半「君は裸足の神を見たか」▽同5時50分「ミカドロイド ディレクターズカット版」(洞口、原口智生監督が舞台あいさつ)

 【4日】午後2時「CURE」▽同3時40分「ドレミファ娘の血は騒ぐ」(洞口、中江裕司監督が舞台あいさつ)▽同6時「ニンゲン合格」

 入場料は大人・シニア1200円など。詳しくは桜坂劇場のサイト(https://sakura-zaka.com/?movie_info=movie_info-154715)参照。問い合わせは同劇場、電話098(860)9555。

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