「歌で人々の心をつないでいきたい」と語る田月仙さん=本人提供

 日本と朝鮮半島の音楽交流に力を注ぐ在日韓国人のオペラ歌手、田月仙(チョン・ウォルソン)さんが今年、歌手活動40周年を迎え、「あの海を越えて」と題する記念公演が26日、東京都中央区築地5の浜離宮朝日ホールで行われる。「私には日本と韓国、二つの故郷がある。友好と平和への願いを込めて歌う」と田さんは言う。

 1部は「鳳仙花」「イムジン河」など朝鮮半島の歌や、旧皇族梨本宮家出身で朝鮮王朝最後の皇太子に嫁いだ、李方子(まさこ)さん(1901~89年)をモデルにした創作オペラ「ザ・ラストクイーン」のアリア(独唱曲)などを歌う。2部は、日本を舞台にしたオペラ「蝶々夫人」の名場面を上演する。「ヒロインの蝶々さんも、海を眺めながら愛する人との再会を待ちわびた」と田さん。蝶々夫人は田さんが、相手のピンカートン役はブラジル出身のテノール歌手、ロベルト・ディ・カンディドさんが務める。

 在日コリアン1世の両親を持つ田さんは、2002年の日韓サッカーワールドカップ(W杯)開催の記念公演で、朝鮮王朝時代の古典小説を題材にしたオペラ「春香伝」のヒロインを務めた。「日本と韓国の間には、今なお政治的な溝が横たわるが、歌を通して人々の心をつないでいきたい」と語る。

 午後4時半開演。問い合わせはカラフ・ネット(03・3366・1229)。【明珍美紀】

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