映画を語るシネマカフェ。今回は呉市を舞台に描かれた映画「孤狼の血」を手がけた白石監督の最新作、「十一人の賊軍」を取り上げます。
映画に出演した東広島市出身の鞘師さんと白石監督が見所を語ります。
「罪人であろうが戦ってもらう」
舞台は1868年、江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜がひきいる旧幕府軍と薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍が争った戊辰戦争です。
戦いの最中、11人の罪人たちが集められ、新政府軍の進撃を止めるよう命じられました。
「無事役目を終えた暁には全員を無罪放免とする」
勝てば無罪、負ければ死。
彼らは命懸けの戦いから生きて帰ることはできるのか…。
作品でダブル主演を務めたのは仲野太賀さんと山田孝之さん。
さらに、東広島市出身の鞘師里保さんが自分を捨てた男の家に火を付けたことで罪人となった「なつ」を演じます。
【加藤キャスター】
「役者としての鞘師さんをどのように見ているか?」
【白石和彌監督】
「芯があるので余計なことをしない。素直なストレートな芝居で感情を出せる。素晴らしい俳優」
【加藤キャスター】
「鞘師さんから見て白石監督はどのような監督?」
【鞘師里保さん】
「作品の前に会ったとき『孤狼の血』を見ていたので、どんなゴリゴリした方と会うのかと思ったがすごくギャップがあった。戦いのシーンがあるので血が散る。喜んで見ている。やっぱりそっち側か?イメージに揺さぶられている」
【加藤アナ】
「これまでの作品と作る上での違い、共通している部分。集団抗争劇で意識した点も違う?」
【白石和彌監督】
「違いました。1シーンの中に10人以上が常にいて、その中で物語が進んでいくことはなかなかない。10人全員を同時に見ないといけない。何か言いに行くと全部見られる。大変だったが、それが作品のおもしろいところ。皆で言い合いながらまとめていく作業が楽しかった。作っていて俳優が今どう感じているかが一番ヒントになる。それがたくさんあるということは、まとめるのが大変ではあるが、そんな解釈があるのかと発見しながらやれた。助けられました」
映画は1973年から始まったヤクザ映画の不朽の名作「仁義なき戦い」シリーズなどを手がけた脚本家の笠原和夫さんが執筆したストーリーが、60年の時を経て映画化されました。
【白石和彌監督】
「読んだ感想は大変だな、誰がやるんだろう。笠原さんが残した根本のプロット(あらすじ)が罪人を前線の砦に送り込む部分が、今にも通じる話になっていく。今行われている戦争や紛争がつながる。戦争しているそれぞれの国は皆自分の正義を持って戦う。正義の裏に悪があるのではなく別の正義がある。そうやって為政者たちは戦争をしていく。そこで犠牲になるのは誰なのかを映画の中で描いている。注目してもらいたい」
作品では歴史の狭間でもがく個性豊かな登場人物、それぞれの熱い人間ドラマが描かれています。
【鞘師里保さん】
「時代が大きく変わる時期に罪人と呼ばれた人たちが、自分の人生を取り返そうと命を懸けて戦う話。それぞれ大切にしているものや正義のために戦う、真っすぐさ、不器用さが描かれている。登場人物の人柄に共感してもらえる部分がある。十一人の戦いを見届けてもらえたら」
【白石和彌監督】
「エンターテインメントのつもりで作ったが、これは戊辰戦争という戦争の話でもある。戦争の中にはそれぞれの為政者が色々な思惑で戦争をする。犠牲になる人がいる。そこの思いをどう描くかが、映画を作る上で一番重要なテーマだった。エンターテインメントとして見ながら、少しだけでも感じてもらえたら作った甲斐がある。ぜひ見ていただけたら」
映画「十一人の賊軍」は来月1日から全国で公開されます。
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