メイメージダンスの公演は、独自の世界観で観衆を魅了した=東京都港区の六本木ヒルズで2024年9月27日、鈴木玲子撮影
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 六本木の街全体で現代アートや音楽、ダンスなどを楽しむ「六本木アートナイト2024」が9月末に開かれた。今年から特定の国・地域のアートに焦点を当てる「RAN Focus」が新設され、第1回は台湾を取り上げた。台湾のアーティスト7組が参加。27日の「台湾ナイト」ではパフォーマンスや映像などが披露され、それぞれの独特の世界観が会場を盛り上げた。

 台湾の現代舞踊団「メイメージダンス」は「沈黙の島―新たなる楽園」を上演。西洋と東洋文化の遭遇を表現し、台湾文化のモチーフなどが随所に盛り込まれている。プロデューサーの林佳鋒氏は「伝統と現代、台湾や日本などさまざまな要素が盛り込まれている。観客は団員と一緒に動いて、いつの間にか公演の一部になっているので新鮮な感覚を受けたと思う」と話した。

 2人組「ウォーターメロン・シスターズ(西瓜姉妹)」は映像とパフォーマンスで、いがみ合う人間たちに愛を呼びかけ、人気を集めていた。

作品「豊穣の宝石-Reflection」について説明する吉川公野氏=東京都港区の六本木ヒルズで2024年9月27日、鈴木玲子撮影
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 また、ツァイ&ヨシカワ(蔡筱淇(ツァイシャオチー)氏と吉川公野(きみや)氏)は台湾と日本出身のペア。作品「豊穣(ほうじょう)の宝石―Reflection」はアクリルやアルミなどを使って、地球上の生命にとって不可欠な水、光、空気などのエネルギーを表現している。吉川氏は「自然界から受けたインスピレーションを自分たちのテイストに変えて立体化させた。その過程が生け花をやっているように楽しかった」と語った。

 台湾のアートシーンは近年活気を増し、国際的にも注目を集める。トークイベント「いま台湾アートが熱い理由」では、台湾の映像アートを代表する袁広鳴氏や台湾当代文化実験場ディレクターの呉達坤氏らが現状について熱く語った。

 袁氏の映像作品「日常戦争」は、若者の部屋が攻撃されているようにもみえる。袁氏は「戦争は軍事的衝突にとどまらない。資本主義における不平等な分配、自然災害、サイバー攻撃など戦争状態のように、物事が日常生活に潜んでいる。日常生活の戦争、戦争における日常という二つの意味が掛かっている」と現代社会に対して警鐘を鳴らした。呉氏は実験場の活動について「台湾ならではの文化やアートを海外に発信する橋渡しの役目も担っている」と語った。【鈴木玲子】

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