「記憶」で読む『鬼滅の刃』』三村尚央著(小鳥遊書房・2420円)
大正時代を舞台に、人喰い鬼を討伐する「鬼殺隊」の剣士たちを描く吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)の漫画『鬼滅(きめつ)の刃』。映画版も大ヒットしたこの冒険活劇を、「記憶」という観点から読み解く論考だ。
主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)は亡き家族を繰り返し回想し、死の危機に瀕した剣士は記憶のフラッシュバックである「走馬灯」を見る。それらの回想はときに夢や幻と結びつき、個人の経験を超えた「祖先の記憶」にも達する。記憶が未来への道を開くきっかけになっている、との指摘は示唆に富む。
心理学者フロイトやユングらの理論も紹介し、記憶の奥深さを考察する。(小鳥遊書房・2420円)
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