松江市唯一の常設映画館が、2025年1月に閉館し、半年の空白期間を経て25年夏にリニューアルします。一方、複合型映画館「シネコン」のない鳥取市では、市民待望の新たな動きも。山陰の映画館の勢力図が変わろうとしています。

松江市の「イオン松江ショッピングセンター」、この3階にあるのが「松江東宝5」です。

来館者:
『もしも徳川家康が総理大臣になったら』を観に来ました。私は西ノ島(在住)で、一番近いからですね」

幅広い年代が訪れるこの映画館ですが…。

安部大地記者:
「30年間市民に愛されてきた松江唯一の映画館も2025年に新たに生まれ変わることになりました」

松江東宝5の前身となる「松江SATY東宝」は、1994年5月にオープン、2012年に現在の名称に変更しましたが、「松江東宝5」を運営する関西共栄興行は、契約更新をめぐり、イオンリテールと合意できなかったとして、2025年1月上旬の閉館を発表しました。
30年にわたり松江のエンターテイメントを支えてきた施設が、ひとつの区切りを迎えることに利用者は…。

境港市の女性:
「ずっと通っていたので、寂しいです」

松江市の女性:
「初めての恋人と『ハリーポッター』の第一作目を見た。思い出の場所で小さい頃からポップコーンを買って『ドラえもん』を見たり、『名探偵コナン』を見たりしていた所がなくなるのは、思い出がなくなるようで…」

イオンリテールは、「松江東宝5」の閉館後、現在の施設をリニューアルし、2025年夏をめどに「イオンシネマ松江」としてオープンするとしています。そのため、利用者からはこんな声も…。

松江市の男性:
「4DXとか取り入れて、山陰でも体験してみたい。東京行ったときに大きい(スクリーン)を体験して、すごく迫力があったので、大きい(スクリーン)期待したいですね」

映像にあわせ座席が動いたりする最新の「4DX」やスクリーンの大型化を期待する声も聞かれましたが、イオンリテールは「新たな映画館の具体的な仕様について公表できるものはない」としています。

一方、県庁所在地にも関わらず、多くのスクリーンを持つ映画館、通称「シネコン」がない鳥取市。ここにきて新たな動きが出ています。

鳥取市まちなか未来創造課・筒井真二課長:
「シネマコンプレックスを事業展開されている企業様から出店の意欲を示していただいたところ」

JR鳥取駅周辺の再生に向け、官民一体となって大規模な整備事業を計画している鳥取市。そのなかで民間事業者に対して、計画への参加意欲を問う調査を行ったところ、イオンシネマを運営するイオンエンターテイメントが手を上げ、再整備の基本計画で建設が検討されている複合施設内への出店について、前向きな意向を示したといいます。

イオンエンターテイメントは、 TSKの取材に対し、「シネコンがない地域ということもあり、立地などの条件次第で出店を検討している」とコメントしています。

鳥取市まちなか未来創造課・筒井真二課長:
「一企業とこうした対話を重ねていくということは今まではなかった。出店の意向を示していただいたことは、すごく大きな一歩だと思っている」

待望の「シネコン」出店計画に市民も期待を膨らませます。

鳥取市民:
「え!そうなんですか?見たい映画が今まであったから今後観れるならうれしい。
実現できるように頑張ってほしい」

鳥取市民
「うれしいことではありますね。新しいものを作って、鳥取市がもっと盛り上がればうれしい」

鳥取市まちなか未来創造課・筒井真二課長:
「市としても課題をなんとか解決できるように取り組みを一緒になってやらせていただいて、実現に向けて注力していきたい」

市は、2025年度中に具体的な施設や建設時期などを盛り込んだ「整備計画」を策定する予定で、これに「シネコン」を盛り込むべく2024年秋以降にイオンエンターテイメントと条件面や設備面を協議していくとしています。

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