能登半島地震で壊滅的な被害にあった輪島塗。そんな輪島塗の職人にとって希望の光です。国の重要無形文化財保持者、いわゆる「人間国宝」に輪島市の西勝廣(にし かつひろ)さんが認定されることになりました。

輪島市の西勝廣(にし かつひろ)さん。漆器の表面を削り、金粉などを埋め込むことで華やかな模様を描き出す輪島塗の装飾技法、「沈金」の職人です。

西さん:
「沈金の魅力はというとこのふわふわ感。このしっぽのふわふわ感とか少し軽やかな感じが出せるのが沈金の特徴なんです」

西さんの作品は身近にある野花などを漆器の全面に彫りこんだ繊細で緻密な装飾が特徴。高校生の時、担任だったのちの人間国宝、前史雄(まえ ふみお)さんの作品と出会いこの道に進みました。

西さん:
「自分なんてまだまだ未熟、未熟なところにこんな話が来るなんてあり得ないことですよ。人よりも2倍くらい驚いたかな」

元日の能登半島地震で、輪島塗の工房はほとんどが半壊以上の被害を受けました。西さんの自宅兼工房も半壊に…。そんな地震をきっかけに西さんは過去の図案を全て捨てたそうです。

西さん:
「過去のものを大事にしていかにも傑作だっていって思い出を残しておくのもいいんですけどはっきり言って壊れちゃったからね、だからこれから新しい形、新しいデザイン、それでいいような気がするんですけど」

こうした中、輪島漆芸技術研修所で講師を務める西さんは地震でダメージを受けた輪島塗の復興には若い力が必要だと話します。

西さん:
「元気で若くてがむしゃらで溢れるような子どもが輪島に現れてくれることだね。すると私もその仲間にまじってなんかやれそうな気がするんですよ」

まだまだ復興途上の輪島塗。西さんの人間国宝内定が、職人や職人を目指す若者にとって大きな力となることは間違いありません。

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