高田賢三さん

 世界的デザイナーの高田賢三さん(1939~2020年)が衣装をデザインし、宮本亜門さんが演出を手がけたオペラ「蝶々夫人」が18~21日、東京文化会館大ホール(台東区上野公園)で上演される。宮本さんは「高田さんの衣装への熱い思いに接した」と語り、追悼の気持ちを舞台に込める。

 宮本さんは高田さんについて「帯の締め方や襟の具合を出演者一人一人、自分で確かめていた」と言う。「衣装への向き合い方、一緒に舞台をつくる我々への優しさなど、多くのことを学んだ」と振り返った。

高田賢三さんが衣装デザインを手がけて2019年に初演された「蝶々夫人」の1場面=三枝近志さん撮影

 今回上演する「蝶々夫人」は、高田さんが初めて国内のオペラの衣装を担当した作品で2019年に初演された。舞台は明治時代の長崎。米海軍士官に見初められ、妻となる決意をしたが、それがかなわなかったヒロインの悲恋を描く。高田さんは、登場人物の心中を想像しながらデザインしたという。

 宮本さんは「長崎の町で、苦しい身の上に置かれた少女が自分のことを理解してくれる男性と出会った。プッチーニのこのオペラは、国や年齢を超えて愛し合った2人の物語だ」と話す。演出にあたり、「2人の間に生まれた息子が後に、残された手紙によって父の本当の気持ちを知るシーンを加えた」といい、「人間本来の感情を音楽と共によみがえらせるのがオペラの魅力だ」と力を込める。

 チケットの予約、問い合わせは二期会チケットセンター(03・3796・1831)。高田さん没後初の大規模回顧展は東京オペラシティアートギャラリー(新宿区西新宿)で9月16日まで開催中。【明珍美紀】

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