演劇集団FECの「お笑い米軍基地2024」の新作、傑作選公演が15、16両日、那覇市のパレット市民劇場であった。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故を契機に始まった公演が20年目に入った節目の公演で、「辺野古トライアスロン」「開放地」など新作7本を発表。県民の怒りや葛藤を生み出す「基地問題」を切り取り、皮肉と笑いを効かせたコントを上演、満場の観客と共に笑い飛ばした。公演は22日に沖縄市で、29日に名護市でそれぞれ開く。

 「辺野古トライアスロン」は新基地建設が進む辺野古を舞台に3種の競技で挑む架空の設定。スイム(水泳)、バイク(自転車ロードレース)では土砂投入された海や土砂搬入のトラックが行き交う道路で選手が脱落するなど“過酷”な競技内容で笑わせた。

 通常実施されるラン(長距離走)に替わって「座り込み」を最終種目に採用。排除したい警備員との格闘をドタバタ劇風に描くなど、辺野古の現状をお笑いを通して伝えた。

 「開放地」は、基地返還後の地域振興を巡って青年会の奮闘を描くストーリー。沖縄に移住した県外出身者のカップル、退役して沖縄へ戻った米国人、地域開発でひともうけを狙う県外企業代表らが地域住民といがみ合うが、青年会が地域の祭り(エイサー)を通して「心のフェンスを開放したい。話し合うことで問題は解決できる」と提案。相互理解を深め、互いに認め合う寛容の精神も描いた。

 制作総指揮および企画・脚本・演出を担当する小波津正光は「毎年公演していることもあって、20年はあっという間。今回は初めて過去の作品を傑作選としてまとめたが、見つめ直すいいきっかけにもなった」と手応えを語った。

 公演の開演時間は、沖縄市民小劇場あしびなーで22日午後2時(新作)と同6時半(傑作選)、名護市民会館大ホールで29日午後6時(新作&傑作選)。問い合わせは実行委員会、電話098(869)9505。

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