藤井聡太名人からタイトルを奪取してから一夜明け、揮毫(きごう)を披露する伊藤匠叡王=甲府市で2024年6月21日、丸山進撮影

 将棋の第9期叡王戦五番勝負(不二家主催)で藤井聡太名人(21)を3勝2敗で制して8冠の一角を崩した伊藤匠叡王(21)は初タイトル獲得から一夜明けた21日、甲府市で記者会見に臨んだ。対局後の興奮でなかなか寝付けなかったといい、「たくさんの方からお祝いの連絡をもらい、少しずつ喜びがこみ上げてきた」と実感をかみ締めた。

 初タイトル獲得後に揮毫(きごう)した言葉には「孤高」を選び、「自分の中でしっかりと信念をもってぶれずに高みを目指していく意味で、棋士になった頃からよく書いている言葉」と説明した。

 3月に叡王挑戦を決めたのは、藤井名人に挑んだ棋王戦五番勝負で1勝も挙げずに敗退が決まった直後。「挑戦を決めた段階では、なかなかタイトル獲得には意識がいっていなかった。あまり接戦にできていなかったので、まずは熱戦を見せたいと臨んだ。叡王戦は全局角換わりで、戦型に対する理解が深まっていったと感じた」と振り返った。

 初戴冠の地となった常磐ホテルは、囲碁や将棋のタイトル戦の対局地として知られる。「非常に伝統的な場所だし、ここで対局できることを楽しみにしていた。結果を出すことができて非常に縁起のよさを感じる。機会があればここで対局できることを楽しみにしている」とタイトル戦での再訪を期した。【丸山進】

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