5月にフランスで開催された国際映画祭で、福井市出身の25歳の女性の作品が外国語部門の最優秀撮影賞に輝きました。身体表現による映像作品で、出演・演出・編集の全てをほぼ一人でこなし、これまでにも数々の賞を受賞してきました。果たしてどのような人物なのか取材しました。
柴田桜子さん25歳。福井市出身で、現在は東京・武蔵野美術大学の大学院生です。若手の登竜門とされる「ニース国際映画祭2024」が5月に開催され、世界中から映像作品が集まる中、見事「外国語映画最優秀撮影賞」を受賞しました。「選ばれるとは思っていなかったので驚きと、受賞したら英語でしゃべらなきゃいけない緊張感から、いろんなドキドキが混ざりながらの授賞式でした」と桜子さん。
受賞作品『砂に染む波』について「テーマは空間と体が溶け合っていく瞬間をミクロにとらえた15分の作品。長さで一瞬を表現しようとした作品です。体を表現するのに映像を使うことで、空間も超越していけるし、部分的な撮影をすることでそこに意味をもたせられたり、映像の力は身体表現の可能性を広げてくれる媒体だと思う。身体表現の魅力は、言葉以上に伝える力をものすごくもっている」と話します。
これまで手掛けた作品は共同制作も含めて7本。いずれも国内外から高い評価を受けてきた桜子さん。そのルーツについて母の明子さんは、桜子さんが5歳のころから始めた“ある趣味”が影響しているといいます。
桜子さんの母・明子さん:
「物語を作って、友達呼んでそれを家の中で演じることは四六時中やっていました。自分でシナリオを描くことが相当好きだったみたいで、小さいころから書きためたものがあります」
5歳の頃から書きためた絵本は、なんと約300冊。絵本の他にも、自分で考えたシナリオで友達と映画作りごっこをすることもあったそうです。高校卒業後は「映画監督になりたい」と日本大学芸術学部の映画学科に進学。転機となったのは大学の授業で出会った「舞踏」とよばれる『日本独自の言葉にできない気持ちを体で表すダンス』でした。
子どものころにクラシックバレエを習っていた桜子さんにとって、舞踏との出会いは、これまでの常識を根底から覆すものでした。
柴田桜子さん(25):
「クラシックバレエは、鍛えられた筋力とか手足が長く身体が美しいというのに対して、舞踏はありのままの体で踊ることが美しい。その身体表現のあり方とか美しいという概念が、バレエと真逆だったことに衝撃を受けて、踊りってバレエのようなものだけじゃないんだ、身体表現って何なんだろうと考えるきっかけになり、すごく影響を受けた」
そしてもう一つ、桜子さんの作品に影響を与えたのが「ふるさと福井の風景」です。「やはり東京で育っていたらこうはなっていないなとは思っていて、幼いころから歩いた通学路やいろんな場所が、自分の感性を作っていく上ですごく糧になっていると思っている」という言葉通り、桜子さんの作品には地元・福井も数多く登場しています。
受賞作品の冒頭シーンに登場する洞窟は三国町です。室内でのシーンは自宅で家族が撮影したものです。
柴田桜子さん(25):
「自分がこうやって活動して頑張ることで、家族とかお世話になったバレエ団の先生方とか大学の教授陣の方に恩返ししていけたらなと思っています。社会を学ぶためにも、一度映像関連の仕事に就職して、もっと成長しながら踊る映像作家として活動していきたいと思っています」
何のために作るのかを自分に問いかけながら、社会で感じたことを作品づくりに生かしたいと話す桜子さんの。飽くなき追求はつづきます。
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