『スター・ウォーズ:アコライト』の英国プレミアに登場したアマンドラ・ステンバーグ Fred Duval-shutterstock

<『スター・ウォーズ:アコライト』で主演を務めるアマンドラ・ステンバーグ。過去のインタビュー動画が批判の的となっているが、文脈を無視した「切り取り」が行われている>

ディズニープラスで配信を開始したドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』に出演している女優アマンドラ・ステンバーグが、ソーシャルメディア上で非難を浴びている。

人種間の関係を描いた2018年の映画『ヘイト・ユー・ギブ』で主役を務めたときに、映画の目標は「白人を泣かせる」ことだと発言した動画が広まったためだ。

ステンバーグは現在『スター・ウォーズ:アコライト』で主演しているが、その配役とは無関係な2018年の動画が再浮上した。保守派のソーシャルメディア・アカウントで文脈を無視して共有され、怒りを買っている。

ノンバイナリーであると公表しているステンバーグは、2018年に映画『ヘイト・ユー・ギブ』のプレスツアーの一環として、ケーブルTVチャンネル「コメディ・セントラル」の番組『ザ・デイリー・ショー』に出演した。トレヴァー・ノアがキャスターを務める番組だ。

『ヘイト・ユー・ギブ』は、目の前で友人が警官に撃たれたことをきっかけに活動家になった若い黒人女性の物語だ。

番組のキャスターであるノアは、ステンバーグに対して「映画を観た人に何を持ち帰ってほしいか?」と質問した。ステンバーグは「白人を泣かせることが本当の目標だった」と答えた。

『ザ・デイリー・ショー』は時事問題への風刺的なアプローチで知られる。2012年に映画『ハンガー・ゲーム』でルーを演じたステンバーグは、この質問に答えた後、真剣な表情を浮かべながら、『ヘイト・ユー・ギブ』には白人の共感力を養う助けになるという意図があると述べていた。

「出来事をねじ曲げて伝えたメディアの影響を受けている人々に心から共感してもらい、私たちのコミュニティーの立場で考えてほしかった」

「(黒人に対する暴力的な)事件は単なるニュースではなく、現実の人々に起きていることだと理解してほしい。このような出来事は私たちにとても深く広い影響を与えている」

現在共有されている動画には、これらの説明は含まれていない。

映画『ヘイト・ユー・ギブ』は、アンジー・トーマスが2017年に発表した同名のヤングアダルト小説が原作だ。

ハーパーコリンズ傘下のバルザー・アンド・ブレイから出版されたこの小説は、カリフォルニア州オークランドで2009年、22歳の黒人男性オスカー・グラント3世が、ベイエリア高速鉄道(BART)を警備する白人警官に射殺された事件を題材にしている。

最近になって再浮上した『ザ・デイリー・ショー』の動画は、保守派や右派のソーシャルメディアで、ステンバーグを「ウォーク(リベラル的な「目覚めた」人)」と非難するために使われている。

なかには『アコライト』のプレスツアーの一環として、最近行われたインタビューだと主張しているケースもある。

ディズニープラスの番組紹介によれば、6月4日に配信が始まったこのドラマでステンバーグは「過去からやって来た危険な戦士」を演じている。

『ザ・デイリー・ショー』の動画は、X(旧ツイッター)で文脈を無視して共有された。「End Wokeness(ウォークネスを終わらせろ)」というアカウントでは1510万回も再生されている。

ユーチューバーのアマラ・エクプノビも「才能ある女優が、このような発言をするのはとても残念だ。これは露骨な人種差別だ。なぜか社会では気軽に受け入れられているが。ひどいもんだ」というコメントを共有した。

一方、ステンバーグの意図を明確にしようとする人もいた。

@nostalgicgeniusというアカウントは、「ステンバーグが言いたかったことは、白人が『共感して』泣くことが目的、ということだ。この共感というポイントは、彼女が出演した映画『ヘイト・ユー・ギブ』が、黒人に対する警察の蛮行をテーマにしていたためだ。この動画は文脈を無視しているので、インタビュー全体を見てほしい。このような歪曲に憤りを感じている」と投稿している。

Amandla Stenberg meant white people crying out of EMPATHY was the goal. This empathy is for her movie called "The Hate U Give" which was about police brutality on a black person. Please watch the full video because this is out of context. It's upsetting how this has been twisted. https://t.co/bOKsowLhPl pic.twitter.com/rCKoAHN5uD

— Nostalgic Genius (@NostalgicGenius) June 6, 2024

『アコライト』の製作総指揮者も最近、非難を浴びている。新しい「スター・ウォーズ」シリーズがあまりに「多様性を重視」しており、「ウォーク」だと非難されているのだ。

しかし、監督のレスリー・ヘッドランドは、そのような発言をする人は「スター・ウォーズ」の「真のファン」ではないと述べて、批判を一蹴している。

ヘッドランドはニューヨーク・タイムズの取材に対して「『スター・ウォーズ』ファンへの共感に変わりはない」と前置きしたうえで、こう述べた。

「しかし、はっきりさせておきたい。偏見、人種差別、ヘイトスピーチを行う人は......ファンではないと考えている」

(翻訳:ガリレオ)

『スター・ウォーズ:アコライト』予告編

『ヘイト・ユー・ギブ』予告編

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。