[NIE・おきなわ]

 毎朝届ける新聞には、地域の話題や暮らし・生活情報、最新ニュースなどさまざまな情報を掲載している。6日は「新聞をヨム日」。子ども新聞「ワラビー」への投稿を楽しむ3姉妹、新聞を使った授業に取り組む教師、記事の影響を受けてヘアドネーションに挑戦した子、写真を参考にスケッチを楽しむ人などに、新聞の魅力や活用法を聞いた。

ワラビー」を活用し、復帰に関心を持つ工夫について提案させる関涼介教諭(右)=2022年、名護市立大宮小学校

授業に活用 子の成長実感

名護市立大宮小教諭

日々の授業に新聞を活用している(右から)倉田奈々教諭、関涼介教諭、神谷優希教諭=3月25日、名護市立大宮小学校

 「新聞で視野を広げ、世の中のことに興味を持ってほしい」。そう望むのは名護市立大宮小学校でNIE(教育に新聞を)の授業に取り組んできた関涼介さん、倉田奈々さん、神谷優希さんの3教諭。それぞれ沖縄タイムスを含めた県内外の新聞記事を授業の導入や話し合いのきっかけ、読み聞かせなどに活用してきた。「子どもの社会性を育てたい」と声をそろえる。

 昨年度、理科の専科だった関教諭は「雨水はどこに流れていくか」という授業で、沖縄の貯水率低下を扱った記事を使った。「ダムの写真を見せるだけでも授業にインパクトが生まれる」と指摘。「自分が関心がある記事の読み聞かせもしていた。普段はあまり話さない子と新聞を通して交流もできた」と話す。

 神谷教諭は自然災害を扱う授業の導入に使用。「同じ台風でも県紙と全国紙を並べ、本土と沖縄の被害の違いを比べさせた。疑問に思わせることで興味関心を持たせることができた」と手応えを語る。

 倉田教諭も授業と関連する記事があれば、社会を考えさせる材料としてストックしている。「自分の考えを紙に書かせたり、子ども同士で共有させたりしている。コラムを写し、書く力を付けさせることもできる。書き手によって情報の捉え方も変わる面白さも知ってほしい」(社会部・又吉嘉例)

ワラビー掲載 楽しみに

伊波真理子さん(12)・奈那子さん(10)・亜衣子さん(6) 那覇市

イラストが大好きな(右から)伊波真理子さん、奈那子さん、亜衣子さん3姉妹=3月26日、那覇市内

 那覇市立城南小5年の伊波奈那子さん(10)、同1年の亜衣子さん(6)姉妹は毎週日曜日に届く沖縄タイムスの子ども新聞「ワラビー」を楽しみにしている。

 真っ先に開くのは「オピニョン人」のページ。投稿したイラストが「ワラビーの森芸術館」に掲載されたときは「やっぱりうれしい」と口をそろえる。2023年度は「SDGs」「ひなまつり」など幅広いテーマを選び、奈那子さん2回、亜衣子さんは3回それぞれ作品が採用された。

 長女の真理子さん(12)=開邦中1年=は「毎日頑張って描いている。だんだん上手になってきた」と妹の成長を喜ぶ。

 真理子さんが小2の頃、投稿した母の日がテーマの作品が新聞に載った。それを見た奈那子さんが「私も」と絵を描き始めたことが投稿のきっかけだ。

伊波奈那子さん(下段)と亜衣子さんの投稿作品

 学校でもイラストクラブに所属する奈那子さんは「季節に合ったイラスト」にこだわっている。ワラビーで「芸術館」を見た後は「エイトマン」「ダジャレ王バトル」の順に読む。

 「キティちゃん」のキャラクターが大好きな亜衣子さんは、奈那子さんに触発され絵を描くようになった。「お姉ちゃんはやっぱり上手」と憧れの存在だ。

 伊波家の朝は新聞から始まる。3人とも「おばぁタイムス」が大好き。お父さんの康昭さん(51)は「みんなで見られるように、紙面をテーブルに広げておくんです」。お母さんの真紀子さん(42)は「子ども向けの料理のコーナーがあったらいいですね」と希望する。

 奈那子さんは「いつも通り、フィーリングを大事に絵を描いていく」。今年から小学生の亜衣子さんは「今年もたくさん絵を描きたい」。中学校に進学する真理子さんは「ダジャレに挑戦してみようかな」。それぞれ抱負を話した。(社会部・天久仁)

動植物の写真をデッサン

運天清子さん(85) うるま市

新聞に掲載された鳥や花の写真を使ってスケッチの練習を続け、水墨画を描く運天清子さん=3月25日、うるま市健康福祉センターうるみん

 水墨画を学ぶサークル「うるま創志会」の指導者・運天清子さん(85)は30年以上、新聞に掲載されている野鳥や花の写真を切り抜き、スケッチの練習を続けている。

 キジやチャーン、ハリオハチクイ、デイゴにコチョウラン-。動きが素早く写真を撮るのは難しい鳥や色とりどりの美しい花々の写真をスクラップ帳につづる。家事を終え、静かな夜に時間を忘れてデッサンする。かわいらしい野鳥の写真を見つけると「よし、描くぞ」とやる気が出るという。朝まで描き続けるときもあるほどだ。

新聞の切り抜きなどを使って描いた鳥のスケッチ

 「集めるのは上手だけど、描くスピードが追い付かずにいる」と笑う。最近はカラー写真が多く、描きやすい。鳥は、全身を写した写真だと、体一つ一つのパーツの大きさが分かるため役立つという。

 うるま創志会は中部地区の会員で構成している。月に2回、うるま市内で集まり水墨画の練習に励んでいる。運天さんは昨年5月、日本美術を世界に向けて紹介する国際美術書籍「アートメゾン・インターナショナル」に掲載されるほどの腕前だ。

 「日頃の練習の成果かも。新聞できれいな写真の記事を探して、これからも創志会のメンバーと一緒に生きがいの絵を描き続けたい」と笑顔を見せた。(中部報道部・又吉朝香)

ヘアドネ挑戦 記事で後押し

與座悠真さん(8)諒真さん(6) 浦添市

新聞記事の切り抜きをした與座悠真さん(右)とヘアドネーションをした諒真さん(提供)

 浦添市の與座諒真(りょうま)さん(6)は今年3月、病気や事故で髪の毛を失った子どもに髪を寄付する「ヘアドネーション」のため、3歳から伸ばした髪を約35センチカットした。最初は興味本位で伸ばし始めたが、兄の悠真(はるま)さん(8)がヘアドネーションを報じる新聞記事を読んで「人の役に立つかもしれない」と後押しした。

 諒真さんはテレビアニメのキャラクターが長い髪を結んでいる様子を見て「自分でもやってみたい」と伸ばし始めた。髪が結べる長さになってからはヘアゴムで束ね、さまざまな髪形を試して遊ぶのが好きだった。

 途中で髪を切ることも考えたが2022年1月ごろ、母のこずえさんが本紙のヘアドネーションに関する記事を見つけ「やってみたら」と提案した。同年夏、悠真さんは「弟が髪を伸ばしている理由をもっと多くの人に知ってほしい」と母と一緒にヘアドネーションに関する新聞記事をまとめた第12回県新聞スクラップコンテストに応募。切り抜き新聞部門で最高賞に当たる県知事賞を受賞した。

 那覇市内の美容室で髪を切った諒真さん。こずえさんによると、前日は少し緊張した様子だったが当日は笑顔で「病気の人に大切に使ってもらえたら」と話していたという。

 悠真さんは「僕は髪が短いけど、弟は6歳で人の役に立つことができてかっこいい。僕も何か人の役に立つことを探したい」と抱負を語った。(榧場勇太)

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