キダ・タローさん=大阪市福島区で、森園道子撮影

 「♪とーれとれぴーちぴち かに料理」「♪あーらよ 出前一丁」など、有名CMソングや番組テーマ曲を多数手がけた「浪花のモーツァルト」、キダ・タローさんが14日、亡くなった。親しみやすいメロディー作りで異彩を放った庶民派の作曲家で、地元関西では抜群の知名度を誇った。また、明るいキャラクターでタレントとしても活躍した。

 キダさんは関西学院高等部時代に兄の形見のアコーディオンを手にバンド活動を始め、神戸のクラブに出入りするようになった。俳優の故藤岡琢也さんは当時のバンドメンバー。作曲は独学で、SPレコードを繰り返し聴きハーモニーを楽譜に書き取るなどして音楽を身につけたという。「影響を受けた音楽は軍歌、歌謡曲、ジャズ」と語っていた。

 作曲家として花開くのは30代。放送業界に作曲を担う人材が少なく、1960~70年代は多忙を極めた。朝日放送ラジオの「ヤングリクエスト」、朝日放送(現朝日放送テレビ)「プロポーズ大作戦」、読売テレビ「2時のワイドショー」のテーマ曲など、今も多くの人々の記憶に残る曲を次々と生み出し、放送文化を支え続けた。CMや歌謡曲などの場合は、先に歌詞をもらって作曲するスタイルを貫いた。

キダ・タローさん=菅知美撮影

 長く親しまれた「浪花のモーツァルト」の愛称は、最高顧問として出演していた朝日放送テレビ「探偵!ナイトスクープ」の松本修プロデューサーが命名したという。

 テレビで見せる豪快なキャラクターとは裏腹に、作曲家としての顔は美意識が高く、繊細でこだわりが強かった。生前、「ショパンのように、美しさを追求したい。もっとましな曲が書きたい」と繰り返し語っていた。

 晩年まで精力的に作曲活動に取り組み、最近も「探偵!ナイトスクープ」に出演していた。

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