四回、石田匠(左)を攻める井上拓真=東京ドームで2024年5月6日、藤井達也撮影

世界ボクシング協会(WBA)バンタム級タイトルマッチ(6日、東京ドーム)

○井上拓真(大橋)―石田匠(井岡)●

 出はなをくじかれるダウンを喫したが、王者の井上拓真が試合巧者ぶりを見せた。「これだけの大観衆の中で競り勝てたことだけが収穫」と首をかしげたものの、兄・尚弥のメインイベントを前に自らのベルトを守った。

 一回、ジャブを当てた際に石田のカウンター気味の左ジャブをもらってひざまずいた。井上は「想像以上の石田選手のジャブのやりづらさで苦戦した」。

 だが、ここからが落ち着いていた。ジャブの差し合いで優位に立ち、石田の右目周辺はアザだらけに。接近戦では効果的なアッパーを当て続けた。ジャッジ3人中2人は二回以降、全ラウンドで王者有利と採点した。

 2月の初防衛戦では世界スーパーフライ級王座9度防衛の実績があるジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に九回KO勝ち。KO勝ちの少なさを指摘されがちだっただけに、大きな成長を見せた一戦だった。

 今回はKO勝ちとはならず、「こんな内容では統一戦とか言っていられない。しっかり課題をクリアして、もっと強いチャンピオンになりたい」。かつて兄が成し遂げたバンタム級での世界4団体王座統一を目標として公言する弟は気を引き締めた。【高野裕士】

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