男子第75回、女子第36回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)が22日、京都市で開かれる。競技の普及などを目的に今大会から都道府県の代表に加え、地区代表枠が常設される。参加枠が58校に増え、地区代表で初出場を勝ち取った学校は出場の意義をどうとらえているのか。

 男子の北関東代表の水戸葵陵(きりょう)は、茨城県予選で2位だったものの、関東大会で上位に食い込み、初めて全国大会の切符を手にした。沢野敦監督(38)は「中学時代無名の選手たちを育て、チーム力で勝負するうちの学校にチャンスが与えられありがたい」と話す。

 優勝を目指した県予選では2位だったが、レース直後から選手らは「県予選がだめでも北関東がある」と声を掛け合っていた。高い士気を維持しながら関東大会に臨み、出場権を獲得した。

 ただ、10月下旬の県予選から全国大会までの約2カ月間で、全力を出し切るレースが3本続くことになる。沢野監督も「選手たちの疲労感はある」と打ち明ける。

 全国大会の出場決定後は入部に関する問い合わせが増えたほか、大学の指導者から声を掛けられた選手もいるなど、注目度は以前よりも増した。エースの井坂光選手(3年)は「強い気持ちで大会に臨む強豪選手に食らいついていきたい」と意気込んでいた。

念願の大舞台に向けた練習前、斎藤久典監督(右端)から指示を受ける西武台千葉の選手たち=野田市で2024年12月11日、高橋努撮影

 「関東大会がある。諦めるな」。男子の南関東代表、西武台千葉の斎藤久典監督(47)は選手をこう鼓舞してきた。県内では選手がそろった八千代松陰が立ちはだかるが、関東大会なら勝負になると考えた。

 他県の有望中学生を勧誘することもせず、地元の生徒たちでチーム編成を続けてきた。小中学校で「優勝」を経験した選手もほとんどいない。都大路に行って、「夢は実現できることを知ってほしかった」と言う。チームを指導して24年になる斎藤監督は初出場を決め、「自分たちらしく走り抜いてほしい」と願う。

 女子の東海代表となった浜松商は、静岡県予選では4区まで首位を走るも、最終5区で逆転されて2位。目の前で都大路を逃した悔しさをバネに、東海予選で3位に食い込んで初出場を決めた。8人の部員をまとめる戸塚光梨主将(3年)は「県予選は本当に悔しかった。でもそこで腐らずに普段と変わらず続けた練習が報われた」。平龍彦監督(31)も「最後まで諦めずに気持ちを立て直してくれた」と話す。

 「復活当選」を果たしたメンバーは「歴史を変えた誇りと自信を胸に都大路を駆け抜ける」と意気込む。【川島一輝、高橋努、丘絢太】

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