秋の古馬3冠達成、有馬記念連覇に挑むはずだったドウデュースが出走回避。“総大将”不在のグランプリは、混戦模様に。
毎日新聞デジタル報道グループの“真希バオー”こと中嶋真希記者が下半期GⅠシリーズの主要6レースを予想。最終戦は辰(たつ)年を締めくくる大一番、有馬記念(中山2500メートル、22日午後3時40分発走)です。
真希バオーはロマン馬券を握りしめ、「ふてほど」脱出を狙います。競馬担当30年の師匠、松沢一憲記者は「若いVライン馬が王者になる」と自信の◎で勝負します。
3歳にチャンスあり
有馬記念といえば、今年を振り返る世相馬券。馬好きにとってのうれしいニュースはパリ・オリンピックの総合馬術団体で日本が銅メダルを獲得したことだろうか。
チーム4人の平均年齢が41・5歳だったことからついた愛称は「初老ジャパン」。今年のユーキャン新語・流行語大賞トップテンにも選ばれた。
「初老ジャパンのユニホームは赤と白。白枠はダノンデサイルか」と真希バオーはサイン探しに余念がない。
ちなみに、今年の新語・流行語大賞の年間大賞は「ふてほど」。TBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」を略したものだが、今季の真希バオーは1勝4敗と「不的中にもほどがある」。サインを探している場合ではなく、有馬を当てて気持ちの良い2025年を迎えなくてはならない。
師匠は、ため息まじりに言った。「今年は物価が高くなって参ったよ。食費が上がって、このままじゃ馬券代が減ってしまう。しかし、有馬で大穴を狙って食費を稼ごうっていうのは得策じゃないな」
過去10年、馬連は14年と20年に万馬券が飛び出したが、ここ3年は3000円未満に収まっている。「今年も大荒れの決着にはならないだろう。ただし、上位激戦で、どの馬を軸にするか、馬券の買い方は難しいよな」と師匠はうなる。
有馬がラストランになるはずだったドウデュースは右前肢跛行(はこう)のため、20日に出走を取り消した。「勝てば00年のテイエムオペラオー、04年のゼンノロブロイに続く『秋の古馬3冠達成』だったのに、陣営は無念でしょうね」と真希バオー。「見えない疲れがあったのかもしれないな」と師匠も残念そうだ。
ジャパンカップ(東京2400メートル)では3歳馬たちがドウデュースに敗れた。今回も、歴戦の古馬たちの壁は厚い。しかし、師匠は「いや、今回は3歳にチャンスあり」と意気込む。「過去10年、若い3歳馬は連対率28%と、4歳の17%を大きく引き離している。斤量面のアドバンテージは大きい。新スターの誕生だ」
松沢記者の本命は……
◎ダノンデサイル(1)、〇アーバンシック(3)、▲レガレイラ(8)、△スターズオンアース(7)、△スタニングローズ(13)、△ブローザホーン(4)
師匠はスタート直前に除外になった皐月賞(中山2000メートル)の無念をダービー(東京2400メートル)で晴らしたダノンデサイルに期待する。
「前走菊花賞(京都3000メートル)はスタートは良かったが、内に押し込められ、4コーナー15番手。そこから6着と盛り返した。Vライン(レース中に一旦位置取りを下げて盛り返した馬は、3走以内に必ず激走するという師匠独自の攻略法)を刻んでおり、苦しい中で盛り返したのは力のある証拠だ。勝てば、コンビを組む横山典弘騎手はJRA・GⅠ最年長勝利記録を更新する。グランプリにふさわしい人馬が大団円で1年を締めくくるぞ」
真希バオーの大胆予想
馬連5頭ボックス(10点×100円=1000円)
(1)ダノンデサイル
(3)アーバンシック
(7)スターズオンアース
(13)スタニングローズ
(16)シャフリヤール
良きライバル関係にあった2頭の対戦が、有馬で見納めだ。
スターズオンアースが勝った22年のオークス(東京2400メートル)で、2着に入ったのは10番人気の伏兵スタニングローズだった。秋華賞(阪神2000メートル)はスタニングローズが逆転。スターズオンアースは敗れたが、3着と健闘した。
スタニングローズは有馬がラストランと表明している。現在5歳のスターズオンアースもクラブ馬なので来年3月までに引退しなくてはいけない。この2頭の走りを一緒に見られるのは、今回が最後だ。
2頭とも、けがに悩まされ、長期休暇を余儀なくされた。決して順調とはいえない競走馬生活だったが、スターズオンアースは桜花賞(阪神1600メートル)とオークスの2冠達成後も長期休みを挟みながら、牡馬を相手に大阪杯(阪神2000メートル)2着、ジャパンカップ3着、有馬記念2着。スタニングローズは10カ月半の休養を経て、前走エリザベス女王杯(京都2200メートル)で古馬GⅠを制した。
スターズオンアースは長期休み明けをたたいたばかりでまだまだ本調子ではないが、有馬記念は「リピーター」が多いから、昨年2着の適性に期待できる。
スタニングローズにもうれしいデータがある。エリザベス女王杯の連対馬は20年にサラキアが11番人気で2着と激走、22年もジェラルディーナが3着に入った。
師匠は「有馬は、お世話になった馬を買って応援するレース」だとよく言う。2頭への敬意を表して、“ロマン馬券”を握りしめてグランプリを見守りたい。
真希バオーの勝負レース
秋華賞→的中 馬連2200円
菊花賞
天皇賞・秋
エリザベス女王杯
ジャパンカップ
有馬記念
なかじま・まき
毎日新聞デジタル報道グループ記者。業務の傍ら、学生時代から興味があった競馬を本格的に勉強しようと、2014年、競馬担当の松沢一憲記者に勝手に弟子入り。得意技は、パドックで激走する穴馬を見つけること。皐月賞馬イスラボニータが大好きで、産駒の応援に励んでいる。
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