今夏、女子800メートル日本記録を19年ぶりに更新した東大阪大敬愛の久保凜選手(2年)が自身初の全国高校駅伝に臨む。
中学時代に全日本中学校選手権の800メートルを制し、高校1年の時に全国高校総体の800メートルで優勝した実力者だ。しかし、昨年まではサッカー日本代表の久保建英選手(レアル・ソシエダード)のいとこという話題性が先行していた。
走りで実力を証明したのが、今年7月に奈良県で行われた記録会だった。800メートルで、日本女子選手史上初の2分切りとなる1分59秒93をマークした。
日本記録を出したことで、周囲の目が変わった。これまで以上に注目され、報道陣からカメラを向けられることが増えた。
SNS(ネット交流サービス)上では「もう、(久保建英のいとこという)肩書いらん」という書き込みも見た。
「プレッシャーを感じるが、注目してもらえることは、すごくうれしいこと。今の状況の中でも自分のリズムでやっていかないといけない」と重圧に正面から向き合っている。
全国高校駅伝を前に、テレビ解説などを務める著名な元選手からインタビューを受ける機会も増えた。「いろいろな話を聞けるのは自分が成長できる機会」と前向きに考えている。
2000年シドニー・オリンピック女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんからは「海外の試合はハプニングがつきもので、どのように対応するかが大切」と教わった。来年9月に東京で開催される世界選手権の代表を目指し、今後、海外のレースへの出場を検討している久保選手には貴重な助言だ。「どのような時も、どれだけ楽しんで競技をできるか」と考えるようになったという。
高校入学当初は、周囲に自分の考えをうまく伝えられないことがあったが、今は誰に対しても物おじせず、話せるようになってきた。野口雅嗣監督(56)は、「多くの人と話す中で、いろいろなことを感じている。大人の心ができてきている」と評す。
昨年は近畿大会で1区を快走し、チームを全国高校駅伝初出場に導いたが、本番は直前に盲腸になって欠場した。
「今回の駅伝で悔しさを晴らす。任された区間でいい流れを作って、チームの入賞に貢献したい」と意気込んで臨む都大路は、この1年間の心身の成長を証明する舞台となる。【荻野公一】
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