巨人から海外フリーエージェント権を行使してメジャーリーグ移籍を目指していた菅野智之投手(35)が17日にオリオールズと契約合意した。
プロ野球には、このフリーエージェントとは別にポスティングシステムという制度もある。
これまでに多くの日本人選手が海を渡るため利用してきたフリーエージェントとポスティングシステムは何が違うのでしょうか。
■フリーエージェント(国内FA・海外FA)とは?
国内FAでソフトバンクへ移籍した山川選手(2023年) この記事の写真は6枚NPBでは、選手が自分の意思で他球団に移籍することはできないが、選手がFA権を行使した場合に限り、選手は他球団へ移籍するための契約交渉を行うことができ、FA制度は国内FAと海外FAがある。
国内FA権は2008年に整備され、選手がNPB所属球団相手であれば契約交渉を行うことができる選手の権利である。
国内FA権を取得するためには、145日以上の1軍登録が8シーズン(2007年以降のドラフトにおいて大学社会人出身者であった場合は7シーズン)に到達することが条件とされている。
また、FA権を行使してNPBに所属する他球団に移籍するには、移籍先球団から移籍元球団に対して、金銭や選手を譲渡する補償制度がある。
最近の例では、2023年に山川穂高選手が国内FA権を行使し、西武からソフトバンクへ移籍。
その際に、人的保障として西武はソフトバンクに所属していた甲斐野央投手を獲得した。
海外FA権は、選手がNPB所属球団以外の球団、つまりメジャーリーグ球団などとも契約交渉を行うことができる選手の権利である。
海外FA権を取得するためには、145日以上の1軍登録が9シーズンに到達することが条件とされている。
なお、選手が海外FA権を行使し、NPB所属球団以外の球団への移籍の場合、移籍先球団から移籍元球団に対する人的保障などの補償制度や、獲得人数の制限はない。
最近の例では、2023年に松井裕樹投手が海外FA権を行使し、楽天からメジャーリーグのパドレスに移籍した。
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■ポスティングシステムとは?■ポスティングシステムとは?
マリナーズへの入団が決まったイチロー氏(2000年) レッドソックスへの入団が決まった松坂氏(2006年)これまで、イチロー氏や松坂大輔氏の他、多くの選手がポスティングシステムを利用してメジャーリーグに移籍している。
エンゼルス入団会見を行う大谷選手(2017年)現在、ドジャースで活躍している大谷翔平選手もポスティングシステムを利用してエンゼルスに移籍した一人だ。
このポスティングシステムは、海外FA権を取得していない選手の海外移籍を可能とする制度である。
海外FA権を持たない選手が海外移籍を希望し、その希望を所属するNPB球団が認めた場合、メジャーリーグ・コミッショナーに対して、その選手が契約可能選手である旨を通達する。
メジャーリーグ・コミッショナーは、メジャーリーグ各球団に対して、ポスティングを認められた選手が契約可能選手である旨を告知(ポスティング)する。
告知された翌日から45日間、ポスティングされた選手とメジャーリーグ球団が交渉可能となり、選手に興味のある球団は、メジャーリーグ・コミッショナーに対して金銭のみからなる入札額を提出する。
興味を示した球団が複数ある場合、最も高額の入札額を提示した球団が交渉権を獲得し、選手と所属球団との契約の合意に達した場合、その選手はメジャーリーグ球団に移籍できる。
メジャー球団との契約対象は25歳以上のため、移籍契約時はマイナー契約(メジャー出場は可能)となる。
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■フリーエージェント(海外・国内)とポスティングシステムの違いは大きく3つ■フリーエージェント(海外・国内)とポスティングシステムの違いは大きく3つ
取得するための日数フリーエージェント:入団から一定の一軍登録日数が必要
国内FA:通算8シーズン(大学社会人出身者の場合7シーズン)
海外FA:通算9シーズン
ポスティングシステム:海外FA権の取得条件を満たさなくても、所属球団の承認を得れば移籍が可能 権利の所在
フリーエージェント:取得した選手の権利
ポスティングシステム:選手からの要請を受け、球団が承認できる権利 交渉期間
フリーエージェント:制限なし
ポスティングシステム:ポスティング翌日から45日間 地区S第4戦の試合前、言葉を交わす山本投手(左)とダルビッシュ投手(右)
2024年シーズンは、ダルビッシュ有投手と山本由伸投手がポストシーズンで史上初の日本人投手で投げ合い、大谷選手と山本投手が所属するドジャースがワールドチャンピオンに輝くなど、日本人選手が大活躍したシーズンだった。
2025年シーズンは、今回契約合意した菅野投手や佐々木朗希投手らもメジャーに挑戦予定で、さらなる活躍が期待される。
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