愛犬のデコピンを抱く大谷翔平=米ロサンゼルスで2024年8月28日、AP

 米大リーグ・ドジャースでワールドシリーズを制覇し、3度目の最優秀選手(MVP)に輝いた大谷翔平選手(30)が9日(日本時間10日)、オンライン取材に応じた。メジャー初の50本塁打・50盗塁(50―50)達成など数々の偉業を成し遂げた移籍1年目について、大谷選手は「新しいことだらけの中でいい発見が毎日あった」と充実感を漂わせた。

 記者からのその問いに大谷選手は「久しぶりに来ましたね、その質問」と笑った。今年の活躍を漢字1文字で表すとしたら――。

 「何だろう。優勝の『優』でもあり、一番の『一』でもあり、50―50の『五』でもあり。たくさんあるんですけどね(笑い)。1個だけ? 『一』じゃないですか。優勝の一番になったということ、移籍1年目だったということ、という感じですかね」

 6年在籍したエンゼルスから「勝つことが今一番大事」と名門ドジャースに移籍した。2023年9月に受けた2度目の右肘手術の影響で打者専念の一年だったが、ムーキー・ベッツ選手やフレディ・フリーマン選手らスターとともに、4年ぶり8回目の「世界一」の立役者になった。新天地の日々はこう語る。

米プロバスケットボールNBAレーカーズの試合を妻の真美子さん(左)と観戦する大谷翔平選手=Imagnロイター

 「新たな発見は至るところで。新しいチームに入って、新しいコーチと新しい選手たちと、フロントオフィスの方もそうですけど、新しいことだらけの中でいい発見が毎日ありました。これ一つではなくて、いろんなことを経験できたシーズンだったなと思います」

 個人では自己最多の54本塁打、130打点で打撃タイトル2冠に輝いた。常々、打撃の構えの大切さを指摘してきた大谷選手は、自身の考える理想の構えについてもイメージを語る。

 「自分の感覚としては『正しく立てている』というのが一番。腕の高さやグリップの自分の体からの遠さで重心の位置はずれるけれど、例えばそれを(両足の)スタンスで変えるのか、開き具合で変えるのか、下は変えずに手のバランスで変えていくのか、目線で変えていくのか。そこさえ整えば、ボールが来る前にある程度打てる予測というのがしやすいなと思っています」

 今季は打つだけでなく、積極的な走塁も目を引いた。昨オフから強化に励みシーズン59盗塁で前人未到の「50―50」を引き寄せた。

 「しっかりとした姿勢で構えて反応できれば、ある程度いいスタートは切れる。それよりはしっかりしたリードを取りながら、けん制が来た時に戻れる自信があることが、スタートを切る、また、二塁に進んでいく過程で大事になる」

 来季は3月18、19日、東京ドームでのカブス戦で幕を開ける。投打「二刀流」の完全復活へ、現在は肩の可動域を元に戻すリハビリを行いつつ、キャッチボールを再開して、球速70マイル(約113キロ)を計測した。

 「もちろんなるべく早く復帰するところに焦点を当てたい。開幕というのが選手としては一番早いところではあるので、そこに焦点を当てたいと思っていますけど、再発防止も兼ねて慎重にいかないといけない部分もやはりある。どちらもバランスをとりつつ自分としては最短を目指していきたい。トレーナーとしては慎重に事を進めたいという、そのバランスがお互い大事なのかなと思います」

 焦らず、自然体で。いくつもの栄誉を手にしてもなお「野球がうまくなりたい」「勝ちたい」というシンプルな目標を達成するための歩みを止めることはない。小さな一歩の積み重ねが、春にはまた大きな熱狂へと変わる。【角田直哉】

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